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… 短編集 …
苺ひとつ分/銀時

「ねぇねぇ紫野ちゃんてばぁー、銀さんのケーキまだですかー、コノヤロー。」

コノヤローは余計なんじゃないかと思いながらも“もう少しー”と返しておく。

後は少し、いや、かなり高かった赤い色が艶やかな苺を飾り、チョコのプレートに“お誕生日おめでとう”の文字入れをしたら完成だ。



うんうん、我ながら良くできたよ、本当。



お誕生日のプレゼントに何がいいか散々悩んだ挙げ句に思い付かず、銀さんに直接欲しい物を聞いたら手作りのケーキがいいと言われたのだ。



「はいはーい、お待たせしましたー。」



スポンジには蜂蜜を加えて風味豊かに、間にはフルーツをたっぷり、生クリームは少しお砂糖が多めで苺とチョコの飾りでゴージャスに。

“どうだー”と言わんばかりに銀さんの目の前に差し出した。

「うひょーっ!!!コレ全部、銀さんが食っちゃっていいのかよォーーっ?」

“銀さんのために作ったんじゃん”って言うより先にフォークが刺さっていた。

「うわっ、何コレ、うめぇー!チョーうめぇんですけどォォオーっ!」

そんなに嬉しそうに美味しそうに食べられるとコノヤローって言われてちょっとムカついた事も、いただきますを言わなかった事も全部許せちゃうじゃないか。

神楽や新八が帰って来るまでに食っちまわねぇと何て頬張る姿が何だか可愛い、可愛い過ぎるよ銀さん。

横顔に刺さる視線に気付いたのかフォークに刺した苺が1つ、隣に座っていた私の目の前につき出された。

「美味いケーキ作ってくれた紫野ちゃんに銀さんからご褒美。」
“あーんしてみ?あーん”

ちょ、ちょっと待って、あーんだ何て恥ずかしいっっっ。

たじろぐ私の口に銀さんは有無を言わさず苺を捩じ込んだ。

生クリームが少し甘いせいか苺の酸っぱさが三割増しで口内に広がって行く。

あまりの酸っぱさに眉を下げ固まる私を銀さんはニヤニヤしながら見ていた。



「あ、欲しいモンみーっけ。」



気付いたら、どんどん銀さんの顔が近くなり唇の端をぺろりと舐めた。

「生クリームがついてたんだよ。苺は紫野にやったけどクリームんトコは銀さんのなんですぅー。」



生クリームの甘ったるさも、苺の酸っぱさも、ふっ飛んでいってしまうよう。

きっと耳まで真っ赤だ。



「いっこ減ったから真っ赤な苺みてーな紫野ちゃんを貰っとくわ。」



そう言って降って来た生クリーム味の甘い甘いキス






銀ちゃん、はぴばー(≧ω≦)b

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