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夜灯祭(よとぼしまつり)2




ピンポーン!


待ち合わせにはまだ時間がある。

誰だ?


シャツのボタンをあけたまま、くわえ煙草で玄関扉を開ける。

「んっだよ、新聞ならいらねぇぞ」

素足のまま片手で扉を開くと、目の前に固まった十代目が……居た。


「………ごめんなさい…」

何故か顔を赤らめて謝る十代目にふと自分を見て慌てた。

シャツのボタンはほぼ全開、ズボンのボタンさえ開いている。

そりゃ……ねぇよ俺!


「うっ…わ、すみません十代目!!ちょ…待っててくださ、いや、上がってくださいっ!」

ああもう支離滅裂だ……


「あ、の、ごめん…急に早く来て……だ、誰か居たとかじゃない?」

「へ?」

なんでだ?

「違う…よ…ね」

最後の方は段々声が小さくなる十代目。

パタンと扉を閉めて、迎え入れると、ちょっと着替えてきますと寝室へ向かった。




「あんな格好反則だよ…獄寺くん…」

普段は割とキッチリと服を着込み、素裸が見える事などあまりない。

鍛えられ、ほどよくついた腹筋や細い腰、いつもより男らしい獄寺にドキドキと心臓が煩い。

偶然見えた寝室も、薄暗いベッドの上、脱ぎ捨てられたシャツが何だか生々しくて、顔に熱が集まる。

「………どうしよ……」

垣間見えた獄寺の私生活に普段自分には見せない彼の"男"らしさを感じて、どうしようもない妄想ばかりが思考を支配する。


「彼女とかできたら、あんな姿見せたりするのかな…」

あのベッドで………


『十代目……』

耳に残った獄寺の優しげな声が離れない。


「わ、わああああ!違う違う!」

手で妄想を振り払うように、頭の上をパタパタと扇ぐ。


「ど、どうしたんですか、十代目」

「えっ?!いやいや何でもないよっ!」

真っ赤な顔で視線を逸らして荷物を見る。


「あ、そうだった…ハイこれ!」

紙袋からガサガサと取り出したのは、男物の着物で。

ん?

ハテナマークを頭につけた獄寺に、いきさつを説明した。









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