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輝く君の行方は…(6)
「え〜…と、包帯はどう巻けばいいんだ?」
リビングまでミヅキを引きずって運んだリカ。救急箱から包帯を取り出し、頭を悩ませる。ミヅキは倒れたまま動かない。
「う〜ん。ま、いいや。テキトーに巻いちゃえ☆」
悲しいことに、ミヅキは包帯が巻き終わるまで起きなかった。
☆ ☆ ☆
ヤマブキシティ。ユウナとサツキは白い帽子を買おうと店にいた。
「どれがいいかな?」
店には白い帽子がやけに沢山並んでいる。神隠しにあう、という噂のせいで売れないのだろう。
「……白いなら、どれでもいいんじゃない?」
「え〜。せっかくなら、犯人が一番さらいたくなる帽子がいいじゃない!」
「……僕に、言われても…」
サツキが(他の人にはわかりにくいが)困った顔をする。犯人がさらいたくなるデザインとは一体何なのだろうか?
この後、ユウナが帽子を決めるまで二時間かかった。
☆ ☆ ☆
「……ラジオ塔か」
デンジの目つきが鋭くなった。
ラジオ塔。前にロケット団に乗っ取られ、悪用された過去がある。それ以来警備は以前より厳しくなった。
ジョウトの事件とはいえ、シンオウのニュースにも少し流れたためデンジも知っている。
「ジムへの電話…。まあ、いいか」
デンジはジムに電話するのをあっさりと諦め、事務所の中に戻ろうと扉を開く。
「なんだコレーーー!!!」
中からミヅキの声が響いた。
バタン
たまらずデンジは中に入らず扉を閉めた。
「……………」
ギイ
少しだけ扉を開ける。
「包帯まきまきだよ〜。頑張ったんだ☆」
「『頑張ったんだ☆』じゃねぇよ!純粋な悪意しか感じない!!」
聞こえてきた会話から考えるに、リカが何かやらかしたのだとデンジは思った。
「はぁ…」
デンジはため息をついて中に入る。
リビングにいたのは…。
「……誰だお前」
「「あ、デンジ!」」
取っ組み合いのケンカをする、リカとミイラだった。
ミイラは自身を指差しながら言った。
「デンジ見ろこのヒデェ包帯!リーダーがやったんだぞ!!」
「お前ミヅキか…ったくバカが」
デンジがため息をつきながらミヅキの包帯を巻き直した。
言うまでもないが、メガネを付けたミイラはミヅキだったのだ。
「ほら、できたぞ」
「お。サンキュー」
デンジは全身に包帯を巻いたリカと違い、頭にキレイに巻いた。
リカはぶーぶーと文句を言っている。
「せっかくうまく巻けてたのに〜!」
「「どこが!!」」
リカの発言に、二人は息のあったツッコミをした。
☆ ☆ ☆
カントー地方・1の島。
「ようやく着いたですぅ〜」
「船に乗ってから半日、ずっと乗りっぱなしだったもんねぇ」
シーギャロップ号から降りる二人の少女。
ふわふわしてオレンジがかった茶色の髪の少女と、青い髪をツインテールにしてメイド服を着た少女だ。
「おう!お疲れ!」
ふっくらとした体型の男船員が、二人に声をかけた。
「二日後のクチバ行きの船は、ここ、1の島に来るからな。忘れないように気を付けるんだぞ」
「はい。気を付けますね。ここまでありがとうございました」
ふわふわの少女…マキが丁寧におじぎした。
「じゃあ、また二日後にですぅ〜」
メイド服の少女…ユウリが手を振る。
こうして二人は、ナナシマの一つ・1の島に上陸した。
そして二人はポケモンセンターに入った。
中にはナナシマのポケモン転送システムを支える大きな機械があり、それを動かす細身でメガネの男がいた。
「ニシキさーん」
マキがその男に話しかける。
「うあ!ま、マキさんにユウリさん!」
機械に集中していたのだろう。話しかけられてようやく二人に気がついたようだ。
ニシキ…ナナシマのポケモン転送システムを支える人物であり、あの有名なポケモン転送システムを作った『マサキ』の友人。
リカがニシキと何故か知り合いだったため、それで他の探偵団メンバーも知り合ったのだ。
「集中しすぎですぅよ。システムに何かあったんですぅ?」
ユウリがそう言うと、ニシキは首を振った。
「まさか。ルビーとサファイアのおかげもあって、システムには何の異常もありません。リーフさんとファイアくんのおかげですね」
「リーフちゃんとファイアくん…ですぅ?何でですぅ?」
レッドの弟と妹の名前を聞き、ユウリは首を傾げた。
「知らないんですか?まあ、あまり公になっていませんしね」
ニシキは説明を始めた。
「ナナシマのロケット団を倒したマサラのトレーナーって、リーフさんとファイアくんなんですよ」
「あれ?レッドさんじゃなかったんですか?」
マキがそう言うと、ニシキは言った。
「そう思ってるでしょうね。そう噂が流れたとき、ファイアくんが『別に訂正しなくていい』って言ってましたから。なぜかはわかりませんけど」
ニシキは更に付け足した。
「そして、システムに必要だった宝石のルビーとサファイアも、二人が持ってきてくれたんです。もう大助かりだったんですよ!」
ニシキはにっこり笑った。
「そうだったんですか…」
「知らなかったですぅ」
「島の住民も、知らない人は多いですから」
ニシキは、ははっと笑う。
「…あ!すみません。話が長びいてしまいましたね。ここに滞在する間に使う宿に、案内しなきゃいけませんね」
そういってニシキは二人を1の島の宿まで案内する。
もう日は沈みかけていて、空は紫色に染まっていた。
☆ ☆ ☆
午後七時・ヤマブキシティのホテル。
ユウナとサツキは早めの夕食をすませ、作戦会議をしていた。
「やっぱり、いつでも戦えるようにしてなきゃいけないわよね?」
「……でも、ユウナちゃんの『気』は結構強い。警戒されたら終わり…」
「でも、あたしは『気』を使わないと半分も力が出なくなっちゃうわよ?どうするの?」
二人の言う『気』とは、簡単に言うと武道家が出すオーラの事である。格闘道場の師範はもちろん、程度の差こそあるが強い武道家は誰でも出る。ちなみに強い武道家ほど強い『気』を出せる。
「……大丈夫。ちゃんと守るから。僕は少しだけ離れた場所で見てる。ゆーなちゃんが危なくなったら、僕が守るよ」
サツキは優しく笑った。
「……だから、怪しい人に気がついても、武道家の気を出しちゃダメだよ?」
本人は気がついていないが、今サツキは女の子に効果抜群な、美形が優しく笑った顔をしている。
「………………」
サツキの笑顔を見たユウナの顔が、ぽっと赤くなる。
「ほーんと、参っちゃうわ」
ユウナはサツキから顔をそらした。
「?」
サツキはきょとんとする。
「あたし、シャワー浴びてくるわね!」
そう言ってユウナは着替えを持ってシャワールームに入る。
「(もう、さっちゃんたら…。さっちゃんが男の子だったら惚れてたわ!)」
ユウナは服を脱ぎながら、顔を赤くしてため息をついた。
つづく
−−−−−−−−−−−−
ようやくマキ&ユウリ登場(笑)
あとユウナの『気』は本当にただのオーラです。
強い者は見ただけでわかるのは何故か?『気』がでてるから、ということです。
「○○破」系の技が出たりなんてしません。
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