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輝く君の行方は…(15)

1の島の民宿を出たユウリとマキ。

トゲキッスで空を飛び、元ロケット団の倉庫に向かう。

「あっ。まきちゃん、見えたですぅ!」

ユウリが島の空き地に指をさす。

「本当だ!見えた。」

草が切られずボサボサの空き地に建っている建物。

元ロケット団の倉庫だ。

「トゲキッス、降ろしてですぅ」

ユウリの命令に頷いたトゲキッスはゆっくりと高度を下げ、空き地に降りた。

「ありがとうトゲキッス」

トゲキッスの背中から降りたマキは、トゲキッスの頭を優しく撫でた。

トゲキッスは嬉しそうに笑う。

「ふぅ。ありがとうですぅ。ゆっくり休むですぅよ」

ユウリはトゲキッスをボールに戻した。

「さてと…。何かヒントになりそうな物、あるといいね」

マキが倉庫をじっと見る。

少々壁にひびが入っているところがあるが、もっと酷い状態だと予想していた二人にとっては綺麗に見えた。

「ないと困りますぅよ。入れますぅし、早速調査するですぅ」

入り口の扉は壊れて開いていたため、すんなり入れた。

「う〜ん、中はやっぱりぐちゃぐちゃだね」

マキがユウリに言う。

棚は殆ど倒れ、薬品や機械類はバキバキに壊れていて足の踏み場も無い。

二人が通り過ぎる時に、パキパキと音がする。

「そうですぅね…。リーダーは監視カメラの記録と、何かテキトーに書類を取ってきてって言ってたですぅけど…」

「探すの大変だよねぇ…」

マキが力なくはは…と笑う。

「「はぁ…」」

二人はため息をついた。



パキッ…



マキが足を止めた。

「どうしたんですぅ?」

ユウリが声をかける。

「……ゆぅちゃん、何か聞こえなかった?」

少し不安そうな顔をするマキ。

「?…私は何も聞こえなかったですぅよ?」

ユウリは首を傾げた。

「そう?気のせいだったのかなあ…?」

マキとユウリがまた進みだす。

角を曲がろうとすると、また聞こえてきた。



「ここに………が………しい」

「さっさと………ぜ」



「聞こえた!今度は話声!!」

「わ、私にも聞こえたですぅ!!」

二人がつい大きな声で喋ったとたん、



「誰だ!!?」



「「!?」」

バタバタと誰かが走ってくる音がする。

二人はつい後ずさりをした。

バッ

門を曲がって、白い軍服のような服を着た男が二人現れる。二人とも黒髪が、真っ白な服に映えて見えた。

「きゃ…!」

驚いたマキは小さく悲鳴を上げた。

「どうしてこんな所に人が…。サツか何かだと思っちまったぜ。なんか片方メイドだし」

男の片方…つり目の方は、二人を見てやれやれとため息をついた。

「面倒だ。どうせ何も知らないんだ。放っておこうぜ」

もう一人の男…メガネの方は二人に背を向けて戻ろうとする。

「ま、待つですぅ!」

ユウリはつい引き止めてしまった。

メガネの男の手には、ビデオカメラのような物…恐らく監視カメラ。それが握られていたからだ。

「何だよお前?」

振り返ったメガネの男はユウリを睨みつけた。

「それ、監視カメラですぅか?」

「だったら?」

「か、貸して下さいですぅ」

睨まれて怖かったが、ユウリは勇気を出して言った。

それにマキも続く。

「あの…わたし達、それを調べに来たんです。見せてくれませんか?」

「イヤだ。俺達にそんなギリ無いし」

つり目の男もそう言って背を向ける。

「そんな…!」

「行くぞ。早く来い」

マキの言葉はメガネの男の言葉にかき消された。

「はいはい。行くよ」

男二人が去ろうとすると、二人に向けてユウリが言った。

「お、お願いですぅ!ヤマブキの失踪事件のヒントかもしれないんですぅ!!」

それを聞いた二人の足が止まり、

「…………おい。今、あのメイド何て言った?」

「『ヤマブキの失踪事件のヒント』…だろ。事件の事調べてるみたいだ」

振り返った。



ゾクッッ



振り向いた二人を見たマキは、心臓が凍りついたかと思った。

体が震える。

「ゆぅちゃん……ダメ…。あの目は……」

人殺しの目!!

「走って!!」

「ですぅ!?」

マキはユウリの手を引き、男二人に背を向けて走った。

バキバキと床のガラスやら何やらが割れるが気にしない。

「まきちゃん!?どうしたんですぅ!?」

入り口の扉から外が見える。出られる!そう思った時…

「『ふぶき』」

ヒョオオオォォ…

パキィン

「え!!?」

「ですぅ!!?」

足もろとも床が凍った。

足を動かせない。

「はい。捕まえた」

「逃げるな。追うのが面倒くさい」

後ろからの声。

ユウリとマキが振り返ると、あの男二人とジュゴン。

「ジュゴンの、『ふぶき』…」

マキが怯えた目で二人とジュゴンを見る。

「凄いだろ?俺のジュゴン。今まで何人氷付けにしてきたと思う?まあ、俺も知らないんだけど」

「氷付け…?」

つり目の男は楽しそうに笑う。生身の人間の氷付け……普通は死んでしまう。

マキは更に恐ろしくなった。

「(やっぱりこの二人は躊躇無く人を殺すんだ…!)」

「ま、まきちゃん。この二人、何でこんな事するんですぅ?」

イマイチ状況がわからないユウリは、今にも泣きそうだ。

それを見て男は言う。

「メイドはわかんないの?ヤマブキの失踪事件を調べてここに来たからだよ」

「組織の事、知られる可能性があるからな。だから消えてもらう」

メガネの男がモンスターボールを投げる。

ボンッ

中から出てきたのはトドゼルガ。

「ピンチですぅ…」

ユウリは眉を八の字にして、泣き出しそうだ。

「(相手はこおりタイプ。かくとうタイプの技が使えるミミロップで…)」

マキがショルダーバッグからミミロップのボールを取りだそうとする。

バシュッ

「!?」

何かにバッグを奪われた。

マキはつり目の男の方を見た。

「はい、残念」

つり目の男の隣には、マキのショルダーバッグを抱えたマニューラ。

「『どろぼう』…。卑怯者!」

マキは悔しそうな顔で言った。

「ほめ言葉として受け取っておくぜ」

つり目の男はマニューラからマキのバッグを受け取る。

「だったら私が…」

ユウリも腰のモンスターボールに手を伸ばす。

「マニューラ行け」

バシュッ

「あっ…!」

ユウリもマニューラにボールを全て取られた。

「じゃ、後は頼んだぜ」

つり目の男はそう言うと、ジュゴンとマニューラをボールに戻した。

「言われなくてもわかっている」

メガネの男はトドゼルガに命令した。

「『オーロラビーム』!」

マキとユウリに向かって、トドゼルガから虹色の光線が放たれた。

足を凍らされ、ポケモンを奪われた二人に攻撃を防ぐすべは無い。

二人は目をつぶった。



「『かえんほうしゃ』!!」



誰かの言葉が聞こえた。

「何!?」

驚くメガネの男の声。

来るはずの攻撃の衝撃が無く、マキとユウリが目を開く。

「「え!?」」

目の前にはリザードン。

『かえんほうしゃ』でトドゼルガの『オーロラビーム』を打ち消している。

「何でリザードンが…?」

ユウリが呟いた。

リザードンが二人を助けてくれた事はわかった。しかし、ユウリもマキもリザードンは持っていないし、まず野生ではないだろう。

そんな事を考えていると、後ろ…入り口の方から声をかけられた。

「あのさ…何であんた達襲われてんの?」

二人が振り向くと、見覚えのある人物がいた。

明るめの茶色い髪に赤い帽子の少年。



マサラタウン出身のトレーナー

ファイア。



つづく

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ユウナ&サツキに続き、ようやくマキ&ユウリも進みました!

ファイアくん書けてうれしいです!!

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あきゅろす。
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