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うちらのイッシュ旅行記・06
ーうちらのイッシュ旅行記ー
〜第6話〜



リゾートデザート・古代の城。

「……城、か…。」

サツキはプラズマ団を追って、石造りの建物の中に入った。

外の砂嵐の影響で床は砂だらけ…というより、長い長い年月のせいで砂に浸食されて埋もれつつある。

「(……あいつら…どこに行ったんだ…?)」

周りを見渡すと、近くにポケモンを連れた少年がいた。何かをぶつぶつ唱えている。

プラズマ団を見ていないか聞くことにした。

「……ちょっと、いいかな…?」

「…この先に進みましたよ。」

少年はくすっと笑って答えた。
サツキの質問を聞いていないのに。

「あなた、男女の二人組を探しているんでしょう?」

「……なぜわかった…?」

サツキは険しい表情でモンスターボールを構えた。

「…警戒しないで下さい。僕はサイキッカーなんです。訓練して、ほんの少しだけですが、ぼんやりと未来がわかる。」

少年の傍らに浮いている人型で灰色のポケモンが、手の部分をピカピカ光らせながら、くるりと回った。

「今日はリグレーと超能力の特訓しに来たんですよ。もう帰りますけど。」

サツキは思い出した。そういえば古代の遺跡の多くは、エスパーポケモンにとってのパワースポットでもある…と何かの本に書いてあった気がする。

「……そう…。」

サツキはボールの構えを解いた。

少年はサツキの横を抜けて、遺跡を出ようとした。が、足を止めてサツキを見た。

「あ、そうそう。あなたは変な道着の…そう、柔術家の男と会うでしょうね。…頑張ってください。」

それだけ言うと、少年は出て行った。







サイキッカーには程度の差があり、予知が当たる者もいれば、勿論外れる者もいる。世の中に多いのは圧倒的に後者だが…

…サツキが会ったのは前者のようだ。



「マクノシタ、『つっぱり』!『つっぱり』!『つっぱり』!!」

「ドッコラー、角材で受け止めるんだ!!」



目の前で道着の男とプラズマ団の二人組の男の方が、ポケモンで戦っている。

道着の男が使っているのはマクノシタで、プラズマ団の男は木の角材振り回しているポケモンだ。

「(……あのサイキッカーが言った通り奥に進んだら、本当にいた…。)」

サツキは砂の山の影に隠れ、様子をうかがう事にした。







一方、リゾートデザート。

ミヅキは視界の悪い砂嵐の中を進んでいた。

「まっか〜〜っ!!」

突然目の前に赤くて丸い、ダルマのようなポケモンが飛び出してきた。

「うわっ!!」

ミヅキは驚き尻餅をついた。

「な、何だこのポケモン…?ヒウンの町中で見かけたポケモンといい、あの泥棒ヤローのネコといい、見たこと無いのばっかだ。」

ミヅキはそう言いながら、ずり落ちたメガネをかけ直す。

「まっか〜!だる、だるまっか!!」

赤いポケモンはミヅキの服を引っ張る。何だか焦っているようだ。

「どうしたんだ?」

「まっか、だる!!」

赤いポケモンは指差し、その方向にミヅキの服を引っ張っている。

「……お前、ついて来いって言いたいのか?」

ミヅキがそう言うと、赤いポケモンは頷いた。

「まっか!!」

「そうか、みーにも用事があるんだが……。」

ミヅキの頭の中には、二人組をボコボコにするサツキが浮かんだ。

「……まあ、大丈夫だとは思うから、少し付き合ってやるか。よし赤いの、案内しろ。」

「まっか!」

赤いポケモンは頷いた後とたとたと走り出し、ミヅキはそれを追う。


*つづく*

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