本棚 うちらのイッシュ旅行記・07 −うちらのイッシュ旅行記− 〜第7話〜 「そろそろ…か」 マクノシタのトレーナーが不敵に笑った。 「マクノシタ、『はらだいこ』だ!」 どこどこどこ… マクノシタが自分の腹を叩き、自分を痛め付ける。体力を削ることで攻撃力を最大まで上げた。 「そして『ちきゅうなげ』!!」 「まっく…したー!!」 マクノシタがドッコラーを持ち上げ投げ飛ばした。 ドガァッ 砂煙が上がる。目を凝らして見ると、ドッコラーは角材と一緒に頭から砂に突き刺さっていた。 その時、マクノシタの体が光った。 「来たか…進化の時が!」 マクノシタのトレーナーが叫んだ。 「マクノシタ…いや、ハリテヤマ!!」 光が止み、マクノシタはハリテヤマに進化した。 「ハーッリッッ!!」 ハリテヤマは力強い鳴き声をあげる。 それからのしのしと歩いて近づき、ドッコラーの足を引っ張ってひっこ抜く。 ドッコラーは目を回してひんしになっている。 プラズマ団員は「ひっ」と短い悲鳴をあげた。 「さてと、お前達、俺からマクノシタ…今はハリテヤマだが…を解放するとか何とか言っていたが、お前らが『プラズマ団』か?」 マクノシタのトレーナーが睨みながらじりじりとプラズマ団員二人に近付く。 「「くっ…」」 二人は悔しそうな表情をし、 「撤退だ!」 「一時退散よ!」 「「プラーズマー!!」」 ドッコラーをボールに戻し、チョロネコを抱えて出口に走る。 しかしそこには様子を見ていたサツキがいる。 「……逃がさ、ない」 サツキは瓦礫の影から出て通路を塞いだ。 「……そのメリープのボール、返して貰う…」 プラズマ団員は足を止めた。 前にはサツキ、後ろにはハリテヤマとそのトレーナー。左右は遺跡の壁。 彼らに逃げ道は無い。 ☆ 砂嵐の中、ミヅキは赤くて丸いポケモンに着いていくと、倒れている男性をを見つけた。 白衣を着ていてマスクをつけている。近くに赤十字のマークの入った鞄が落ちていることを考えると、医者のようだ。 「医者が倒れているなんてな…。医者は助ける側だろ普通…」 「まっか!まっか!」 ポケモンはぴょんぴょん跳ねて何かを訴えている。 「この人を助けて欲しいってことか?」 「まっか!!」 ポケモンは頷いた。 「なるほどな。お前の体じゃとてもじゃないが運べねぇもんな」 ミヅキは男性の腕を首に回し、腰を支えて立ち上がろうとする。 「う゛っ…」 がくっ ぼさっ 出来るわけもなく、倒れて男性の下敷きになった。 「くっそ…やっぱだめか。頭脳戦が仕事の天才みー様に肉体労働なんかできるわけ無かったわ…」 「ま、まっかぁ…?」 ポケモンは泣きそうな顔をする。 「大丈夫だっつの。やっぱコイツに頼るしかねえな。出てこい!」 ボンッ ボールからジバコイルを出した。 「ジバコイル、この人を町まで運んでくれ」 「ジジジ…」 ジバコイルは頷いて男性の体を左右のユニットで挟んで抱えた。 「よし、じゃあ一緒にヒウンまで行くぞ!」 「まっかぁ!」 ミヅキは赤いポケモンと一緒にヒウンまで戻ることになった。 「……わりぃジバコイル、上にみーを乗せてくれ。もう走れねぇ…。あ、お前は頑張ってついてきてくれ」 「ま、まっか!?」 続く [*前へ] [戻る] |