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04
 


「今回は何の話だ?」



 帰路を歩きながら問われ、なんて説明しようかと頭を捻る。
 とりあえず、会長が蒼司にバレンタインの本命チョコを渡したいらしい、と言うと瀬戸は吹き出した。だよなあ。

 あの会長がバレンタインに本命チョコを、という事実に驚くのではなく笑う辺り相変わらず会長へのイメージは親衛隊や周りが抱くそれとは反対だ。
 きっと俺の周りでは幼馴染みカップルも幸丸も桜井ちゃんも、似通った反応をすると思う。唯一驚くのは廣田くらいだろうな。



「そんでまぁ、あの会長だし市販品渡して本命だとか絶対信じないじゃん? だから作らせようと思って、近いうち俺の所で一緒に作る事にした。瀬戸も来るだろ?てか来い」
「……当たり前だ」



 一緒に作る、と言った瞬間雰囲気に不機嫌さが伺えたものの、来いという強制発言をしたら若干和らいだ。
 これはちょっとヤキモチかなぁと思うと、瀬戸には悪いが嬉しくなる。

 ちらりと斜め上に目をやると、眉を寄せているが怒ってはいない様子。



「つーか、そこまでしなくても良くね」
「そうなんだけど、少しでも円満になってもらわないと今後に影響しそうで。相談出来るって分かった途端甘えん坊になりやがって」
「アレが甘えん坊……」
「俺に素直になるんじゃなくて蒼司に甘えろって思うよなぁ」
「……ある意味あれも甘えだろ」



 うーん、まあ、我が儘っちゃ我が儘だしな。でも甘え方がいかん。
 普段会長は周りの生徒に対して寡黙だ。それは同じ委員会の役員に対しても変わらなくて、でも蒼司や俺には結構喋る。ただ蒼司には一方的というか、命令形が強いから蒼司も反発してるわけで。

 寡黙、冷たい、無表情。その印象を良しとしている親衛隊や会長のファンたちがいて、でも俺らからしたら会長はヘタレでちょっとバカな人。無表情なのも言葉が冷たいのも否定しないけど、今となっては寡黙なイメージは皆無だ。

 俺らから見た会長が本来の姿なのかもしれない。そう考えると、初めて会った時の会長が無理に演じられた「生徒会長」のように思える。



「生徒会長のイメージ作り頑張ってたんだな」
「なんで急にそうなった」
「いや、初対面の時を思い出したんだけどさ、噂通りに冷たいというか大人びてた気がしたけど、今の会長の方が年相応な感じしねえ?」
「……まあ」
「今の方が扱いやすい」
「哀れだな」



 


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