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07
 


「俺もさ、仲良くない人の為に無償で何かするような善人じゃない。 仲良くなって、廣田が悩みを打ち明けてくれて嬉しかったし、出来るなら手を貸したいと思ってる」
「……仁科、」
「そーそー。ここにいるオレと伊織も諒ちんと瀬戸ちんも付き合ってて、森と桜ちんは平然と受け入れてて、霧島なんて会長に迫られてんだよ? こんな面白いくらい揃ってんだから気付かれて危惧するのは杞憂だって」
「ダーリンそれフォローなの?」
「やだなハニーただの本音さ」



 目の前でナチュラルにイチャつく幼馴染みに、廣田は苦笑いを浮かべたもののすぐに照れ臭そうに頭を掻いた。



「……ありがとう。凄く、嬉しい」



 震える声に肩を叩くと、廣田は少しだけ涙を溢した。
 しんみりするのも時には必要だけど、今はそれを払拭しよう。



「じゃ、ご飯食べよー。廣田もたまにはまっつんなんて放っておいて一緒に食べようなー」
「うん、そうしようかなあ」



 綺麗に笑う廣田に安心して、弁当に手をつけた。
 またひとつ新しい繋がりが出来て、嬉しくてむず痒い感覚になる。

 のんびりと弁当をつついていたら、桜井ちゃんが思い出したように言った。



「あ、そういえば、先生私が二人の事知っているのは分かってるけど、私以外は知らないと思ってるよ」
「……ん?」



 どういうこと、と桜井ちゃんを見ると真顔だった。冗談とかではなく薄々勘付いているでもなく?



「二人の関係は私しか知らなくて、先生はこの面子が気付いていたり仁科君たちが廣田君から相談を受けたことも知らないよ?」
「……え、ていうか桜井ちゃん、なんで知ってんの、俺口滑らせた?」
「諒、気付いてないの?あんまりにも自然だったから違和感なかった? 二人とも気付いててその体で話をしてたけど違和感抱いてなかったよね。 この間廣田君が不安そうに話し掛けて来たとき、相談だなって皆で話してたんだよ?」



 そんな伊織の言葉に、廣田が相談を持ちかけてきた時から思い出してみると、確かに今思えばかなり自然に、まるで廣田の話を皆で聞いたような感じになっていた。それは確かにおかしい。



「……なにその洞察力こわい」
「仁科も人の事言えないけどね」



 軽く笑った廣田に突っ込まれ、そうなのかと首を捻ったら何故かみんなに微笑まれた。解せない。


 


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あきゅろす。
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