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三度目の正直‐01
 


 早いもんで2月の始め、晴れていてもまだまだ肌寒い日が続く中のとある日曜。
 最近休日以外でも瀬戸がよく泊まりに来てくれて、連日気分も大変良好で、快晴の昼下がりに散歩へと出掛けていたのだけども。



「───二人で仲良くお散歩ですかぁ?」
「イイ天気ですねぇ」
「こんな空みたいに俺らの鬱憤も晴れやかにしてくれませんかねぇ」



 道端で変なやつらと遭遇しました。
 妙に言い回しが上手くて嫌いじゃない辺り腹立たしいのだが、当然見た目は快晴に似合わない曇りっぷりである。

 私服だから分からないが、たぶん高校生で、俺か瀬戸にフルボッコされた奴らなのかもしれない。八割五分くらい瀬戸な気がするけど。



「どちらさんか知らんけど、凄く邪魔」



 広くはない人通りも滅多にない道端一杯、見覚えのない眩しい髪色の十数人の男共が通せん坊をしてくれているのだ。
 そりゃあ邪魔と言いたくなる。

 正直にそう言ったら、口々に何か言われたけど聖徳太子もびっくりなくらい聞き取れない。喧噪と雑音である。
 だがしかし、目の前に立っている二、三人が発した言葉は聞き取れた。



「俺らのこと忘れるとか記憶力大丈夫かよ?」
「お姫サマが頑張って食われないように抵抗してた姿を俺は忘れてねーぞー」
「でもお前ら呆気なく潰されたじゃん」
「覚えてんじゃねーか!」



 別の奴の言葉で思い出したので返事をすると、コントよろしく突っ込みをくれた金髪(殆ど金髪だけど)の男に目を向ける。が、ふと目線がよく後ろへ流れている事に気づく。
 瀬戸は隣にいる。警察官ならすぐ声をかけてくる。なら後ろに何かあるのか?それとも仲間がいて挟み撃ちとか。

 まあいいか、と背後確認は瀬戸に(勝手に)任せて、懐かしいような何かよく分からなかった拉致事件を思い出した。
 あれは瀬戸と知り合ってすぐの頃、そういえばもうすぐ一年経つんだなあと思うと、あの頃の瀬戸の鋭さと今との違いを改めて実感する。



「あー、懐かしいな」
「いや違うそうじゃない」
「ん?」



 思わず口をついて出た言葉に、困惑気味の集団。こいつら何しに来たんだろう。



「とりあえず何の用?」
「ホント調子狂うな…。さっき言っただろ、憂さ晴らしだって!」
「ああ、俺らの憂さ晴らし相手になってやるって話?」
「違う!逆!」



 


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