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 見事一位を得た俺はもうニコニコが止まりません。
 そんな嬉しいか、と瀬戸が聞いてきたから、もちろんさあ!とドヤ顔してみた。溜め息吐かれた。むかついた。


 終わった生徒はテントではなく、借り物と一緒に入場ゲートの反対側にあるゲートに待機することになっているので、そそくさとそっちに行けば、なんか凄い視線をがっつり頂いた。

 瀬戸のギャップに驚きやら、赤面やらなんやかんやよく分からない視線もあるけど、悪いもんはない。たぶん。




『はぁあぁぁ…いーもん見た。…ごほん。では最終走者の準備が整いましたが。が。最近噂の転校生、霧島蒼司様キタ!その甘いマスクで幾人もの男女を虜にしております現在進行形ですたまりません!』



 鈴木実況に悲鳴(黄色いやつ)が轟く。
 男が入ってることに突っ込むべきだろうか。え、必要ない?

 過去付き合っていた身としては、あの時も男女にモテてたから違和感がないことに気分は複雑です。



『注目の霧島様のお題!!俺の期待はもちろんアレです。アレですよ!』



 鈴木の興奮ももはやBGMと化しているのか、実況(?)も構わずピストルの音が響き走り出す。

 やっぱ早いな、蒼司。



 蒼司も蒼司で迷いなくお題を抜き取り、四つ折りを開いて───固まった。こっちから見ても明らかに固まった。なにこれ俺もああいう風に見えたのかもしかして。



『仁科君同様に霧島様硬直!物ではなかったのか?それとも予想外の物だったのか!まさか!まさか者だとか!?』



 ものもの言ってて何なんだかって感じだけど、ニュアンスで分かってしまうこの何とも言えない感じな。


 他の走者が借り物を求めて走り出したのに気づいた蒼司は、意を決したように、紙を握り潰したようだ。同じことするな。



『きた!きた!どこに!走る!霧島様あぁぁぁあぁ生徒会テントキタァアァァァ!!どなたに行く!どなたに行…会長キタァアァァァごっほげほっ!!』



 鈴木が叫びすぎてむせた。
 会長かよ…!とは俺も思ったけども。


 不機嫌そうな蒼司とは反対に何故か嬉しそうな会長が引っ張られ、一言二言交わしたと思えば、今度は会長が蒼司を引っ張って走り出した。がっちり手を繋いで。



『もぉぉえぇぇえぇ!!!!!苦しい!!たぎりすぎて苦しい!!でも負けない!!!』



 鈴木は何と戦っているんだろうか。







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