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『さあ、お題はなにか!?先生、発表を!』


 ハイになってる鈴木の促しに、先生はマイクを口元に持っていく。



『えー、「最近気になるギャップの人」』

『ぶぉふぉぁ!!まさかのギャップの人に一匹狼ですか草生えすぎて除草剤欲しいんですけどいかがなものか!』



 知らんがな。

 俺が引き当てたのは、「最近気になるギャップの人」という何の質問ですかって感じのお題だった。
 なんつーか、ピンポイントで来た。
 ギャップの人とか。思わず固まったのは仕方ないと思う。



「じゃ、これの証明ね」



 そう言ってマイクを向けてきた先生。
 証明、証明ね、うん。
 とりあえず走りながら考えてたんだけど、一番最初に浮かんだってことはギャップがあるわけで。あると思ってるわけで。


 一般的な印象は、不良、恐い、手が早い、女遊び凄い、美形だとか確かそんな感じだったはず。

 短いながらも関わってきて、遊びに行ったりなんだりして俺が抱いた印象を言えばそれなりになるはず。



 なんだか周りが静かな気がするが、そんなことはもう置いておこう。



『え、っと、確かに不良だし目付き悪いし喧嘩もするし冷めてるっぽいし短気だし…』

「オイそれ貶してんぞ」



 はい横やりはスルー。



『あんま無差別に喧嘩売ったりしてないし、目付き悪いけどそれだけで冷たい訳じゃないしどっちかっつーと優しい?で、たまにアホっぽい。遊びに誘えば来るし、ノリ悪くないし、気遣い出来るし、結構面白いと思う。なんつーか、えーっと、』



 ぽつりぽつりと、思い出しながらなせいでなに言ってんのかよく分からなくなってきた。



『あ、照れたりもする』
「な…っ」



 だってほら。



「今とか」
「っ、うっせぇ…!」


「「きゃあぁぁあぁあぁ!!!」」

『のろけキタァアァァァ!!溜まらん!!けしからん!!もっとやれ…!!デレた瀬戸様レア過ぎてもうどうしてくれよう!!どうしてくれよう!!誰かあのツーショット現像して流してください!!』



 耳が痛い。
 今とか、と言って瀬戸が返した瞬間の爆音。もはや爆音。地響き。



「し、証明、ですね」



 まさに驚愕、な顔の先生にお許しいただきました。



「やったー、一位!」
「……」



 最近気になる、という言葉をすっぽり忘れていた俺は、瀬戸の困惑した表情にまったく気付かなかった。





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あきゅろす。
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