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『おっとー、仁科君が固まっております!お題は何なのでしょうか気になりますかなり気になります!』
うるせーコノヤロウ楽しそうに言いやがってコラ。
思わずお題の紙をぐしゃっと握りつぶしてしまった俺は悪くない。
「え、あ、赤組のイケメン…!?」
「天使ってなんだ…!」
「ね、猫好きな人…!?」
両隣では他の、青、緑、赤のTシャツの男女生徒が困惑気味にぶつぶつと聞こえてきて、俺は、そのお題内容に羨望すらした。間違いなく今この中で一番厄介なお題は俺だ。
『さあ、さあさあ!お題に見合ったものを借りてゴールまで一直線です!見ものです!』
つか誰だお題考えたヤツ。
とにかく固まってても仕方ない。ビリにはなりたくない。よし腹くくれ俺!男だろ!
借り物を求めて走り出した生徒たちに続き走り出す。向かうは、黄色テント。
『緑が一番先に借り物を!まさかの実況席!え!なんと我らが実行委員会の天使をご所望!いってらっしゃい!───さて気になる仁科君のお題ですが!迷わず黄色テントに向かっております!』
気にすんなよマジで!
黄色テントに真っ直ぐ走り着き息もつかずに怠そうな顔をしたやつの前に立つ。
びっくりした顔はレアだが、今はどうこう言ってる時間はない!
「何も聞かずに来い!」
「は、あ?…おう」
間怠っこい動きに、ぐいっと腕を引いてそのまま走り出した。後ろで焦ったような声が聞こえたが無視だ無視。
負けず嫌いなんだよ俺は!
先にゴールへ走り出していた緑のTシャツを見つけ、スピードを上げる。
こいつは足が早いから問題ない。ちゃんと着いてきてるし。
『一 匹 狼 キタァアァァァ!!』
キィィィン、とあまりの声にハウった放送。
俺が借りに来たのは一匹狼こと、瀬戸である。
一番手っ取り早く浮かんだんだから仕方ない。うん。
『赤、青も続いてゴールへ向かっていきます!さあ、誰が先に着くか!おぉぉ!!黄色、緑抜いたあぁあぁぁ!!!』
ゴール間近で緑を追い抜き、テープを切る。しかしまだ借り物証明が残ってる。
ゴール前にいる教員のところまで駆け足で近寄った。
「お題を見せて」
息切れしながらも紙を渡し、乱れた息を飲み込んだ。
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