13
とりあえず(机が)イジメられてるのは事実なので、考える素振りに首をかしげてみる。
「んー、まあ、ね」
「いつから?」
「先週?…ん?先々週か?」
「二週間も?」
「まあ机だけだし、机は使えるし」
「あの花は?」
「はな?」
「ちょうどそれくらいから日に日に数が増えてるやつ」
「花は気付いてたんだ。あれね、あれもそうだけど捨てるの勿体ないし」
「諒らしいね。……で、今日は?」
「呼び出し?」
「……ふうん」
テンポ良く流れる会話に割り込むことなく大人しい四人を視界に入れつつ。
自分の言ったことを思い返したのか、引き剥がされた女子も三人と同じように顔面蒼白になってた。
この状態じゃ、もう何も言ってこないかな。と見切りをつけて、沈めていた苛立ちの原因を思い出す。
「そういやさ、会長どこにいんの?」
「え?会長?」
「うん。聞きたいことがあって」
「…たぶん、生徒会室」
「どこだっけ」
「一緒にいくよ。俺も用が出来た」
「サンキュー」
何の用が出来たのかは聞かないさ。
俺が会長に聞きたいことがあるって言った後の返事の間は、多分、気付いたんだろうし。勘はいいからなあ。楽だ。
そんな会話に、泣きつき女子が声を上げた。
「蒼司様…!?」
蒼司は既に来た道を戻ろうと踵を返していて。俺も女子の横を通りすぎる手前で。
泣きつき女子は、さっきの話聞いてました!?みたいな顔。
それに気付いた蒼司は、にっこり笑って。その笑顔に四人は赤面。かっこよけりゃ誰でもいいってかコラ。
「君の話は初めから信じてないよ。俺は諒しか信じてないから」
しかし蒼司の言葉に、またサーッと顔面蒼白になった。忙しないなオイ。
ばっさり切って、また歩き出した蒼司に続いて歩き出す。ふと振り返れば、硬直してる四人。すげぇな。
つか、これってイジメ悪化とかしたりしないの?大丈夫?あの机。
ま、いっか。
とりあえず、あの驚愕してる四人は気付いただろうか。さっき蒼司が問うた言葉が、「何されたの」ではなく「何してるの」ということに。
驚愕してるってことは気付いてないってことだろうけど。びっくりしたけどね俺は。
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