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07
 

「諒ははっきり言われた方が分かるもんね」
「え、いや何の話?」
「好きだよって話」
「いや意味わかんねーから」


 何なの。こいつの考えがイマイチ理解できないよ俺は。
 話変わりすぎだろ。


「言い過ぎて照れてもくれなくなっちゃったけど」
「いや、あれだけ毎日言われりゃ誰だって耐性付きます」


 そりゃもう顔合わせたら間違いなく数回言葉交わしては「好きだよ」って言われるんだからさ、嫌でも慣れるってもんだ。
 特に蒼司は、日常会話のように何の恥ずかしげもなくペロッと言うからな。さっきとか、今とか、今とか。
 この短時間で何回言われたよ?


「だって好きなんだから、伝えないと勿体ないでしょ」
「なにがデスカ」
「言わないでまごつく時間とか」
「何お前そういうこと考えてんの」
「無駄に悩ませたくないし悩みたくないだけ」


 うーん、まあ、確かに言わなきゃ言わないで本当に好きなのかとか色々悩んだり言われたりするけどさ、女子とか特に。
 付き合ったことある子に何度、「本当に好きなの」とか「甘い物とどっちが好きなの」とか散々言われましたけども。


「そういうのって言い過ぎると逆に気持ち込もってんのか分からなくなんね?」


 好き好きって言われんのは嬉しいし安心するだろうけど、あまりに何度も言われたら逆に勘繰るっつーか、軽々しく聞こえてきたりとか。
 そう思って聞いたら、返事がなくて顔をあげて隣を見ると。


「毎回分かりやすく込めるに決まってんじゃん」


 バカなの?みたいな顔で当たり前のように言われました。ちょっとショック。
 で、思い返してみた。


「……そーっすね。うん、込もってたわ」


 もう暑苦しいくらい熱っぽい目で真っ直ぐ見つめられてたわ、俺。
 それに、メールと電話じゃ一回も聞かなかった。必ず目の前で、顔を見て、直接でしか言われなかった。


「込もってた、じゃなくて今でも込めてるんだけどな」
「……そーっすね」


 やだもうなにコイツ恥ずかしい。
 つか、これで揺らがない俺ってなんなのかね。え、慣れ?慣れってコワイ。




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あきゅろす。
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