06
「あ、れ…は」
「彼が部屋に帰ってから話してないの?」
「いや……うーん」
怖くて寝たふりしましたすみません。小心者ですはい、それからもう話題にも上がってません。二人っきりになった時に何か言いたそうで言いかけたのに気付いたら素早く話題提供してましたスミマセン。
……ダメだ。俺が一番ダメだった…。
「てか、蒼司は何話してたんだ?」
「ん?……秘密」
「オイ」
可愛くニッコリすんなやコラ。
「何も話してないなら話せないよ。本人に聞いて」
「いや当事者じゃんお前」
「その会話の原因は向こうだし」
「いやいや」
「諒と瀬戸君の問題だし」
「……」
いやあれは俺が一方的に感じ悪かったというか何というか、ぶっちゃけ自分でもよく分からないんだけども。
そのせいであいつとの距離感がイマイチ掴めなくなったというか、なんというか、距離感を意識するなんて始めてだしどう接したら良いか分からないというか。
「だから本人と話しなよ」
「ぅえ!?…えすぱー?」
「だだ漏れしてた」
「……」
うっわ、うっわ、はっず!
ぶわわわっと顔面に熱が集まってくるのがわかって、咄嗟に体育座りして膝に額を押し付けた。
「…まあ、こっちとしてはそのまま距離を開いてくれてもいいんだけどさ」
「なに言ってんの意味わかんねーデス」
そのままの態勢でとりあえず突っ込んだけど、声が籠もって聞こえたかどうか。
まあ、聞こえたんだろう。ちょっと笑ってるし。てか笑ってんじゃねぇよ。そんなとこで改めて独占欲披露しなくていいから。
「お前…瀬戸嫌いなの?」
会話してるとこなんて見たの、初対面と修学旅行の時くらいだし。
この人とは馬があわないなってのは初対面とか二三回会話したら大抵分かるもんだけどさ、第一印象とかじゃなくて、本能みたいなもので。
そんな感じなのかなーと考えてみる。
「まあ、好きではないよねあんなヘタレ」
「ぶっ」
オイオイ思わず吹き出したじゃねぇかコラ。瀬戸にヘタレって。しかも鼻で笑いながらヘタレって言ったよコイツ。
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