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04
 

 沈黙の昼食中、俺は頭の中で今日の甘味について考えてた。
 柑橘系スイーツが出てくるなあ、とか、ゼリーもいいなあ、とか。最近お気に入りの喫茶店行ってないな行きたいなとか、弁当食べながら専ら脳内ドロドロに甘い物のことで埋め尽くされてる。
 甘い物のこと考えながらメシ食ってるとそれが甘い味に感じる、とか何か誰か言ってたな。誰だっけ。

 あーたまには食べ放題とか行きてーなぁ。スイーツ食べ放題とかたまらん。今度先輩に連絡してみよっかなあ、久々に行きませんかとか。一時期よく行ってたけど、何だかんだで疎遠気味だし。


 うーん、とりあえずこの状況が落ち着いたらにしよ。うん。


 残り少ないご飯を口に放り込み箱を片付けていると、隣から控えめな問いかけがきた。


「……あのさ、」
「ん?」


 見れば、蒼司は食いかけのお握りを持った手を下げて何故か眉間にシワ。どうした。


「この間、会長と会ってたよね…?」
「え、あー……あぁ、うん」


 あの屋上の件か。ちょっと忘れてた。
 そういや会長の電話の相手はこいつだったっけ。今更だけど、なんでいま?


「…なにか、された?」


 俯き気味の顔に、目だけがこちらを見る。
 …とりあえず、お前の上目遣いってすげーな。ハの字に下がった眉と垂れ目が相乗作用してる。

 まあそんなことは置いときましょう。
 なんかされたかって?
 いつだかの屋上を思い出すのに目線を上げた。


「なんもなかったな」
「……そう」
「確かめたいこと、とか言ってたけど」
「……」


 いや黙られても。
 会長から何も聞いてないのか?あのあと会ったりしてないのかな。俺の記憶じゃ、自分から電話を切ることがなかったような蒼司が、一方的に電話切るくらいだし。
 他のヤツと電話してる時は知らないから何とも言えないか。


「それがどうかした?なんか言われたのか?」
「ううん何も。ありがと」
「いや、べつに…どういたしまして…?」


 何だかよう分からんけど。
 まあ、会長があんな風に柔らかい声向ける相手が蒼司だって事は驚いたけど、当事者達の間のことだし。


「諒、好きだよ」
「はぇ?」


 いやなんだ急に。意味わからん。




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