03
がっつり昼飯がある程度済んだ(というか多貴が落ち着いた)頃。
「そーいやさぁ、瀬戸ちん前回のテスト何位だった?」
「は?」
そんな一言に、カレーの乗ったスプーンを口の前で止めた瀬戸がちょっと裏返った声を出す。
何だかんだ俺も気になってはいたんだよな。さっきも真面目に勉強してたし、ほんとに不良ですか?って聞きたくなるよ。
いや瀬戸が自分から不良だとか言ってるわけじゃないとは思ってんだけどさ、なんか不良のふりした真面目くんじゃないんかいなとかさ。
そんなことをぼんやり考えていると、向かい側にいる瀬戸がご飯を咀嚼しながら眉を潜めているのに気付く。
「どしたの、瀬戸」
「……いや」
「なーに、言いたくない順位とかー?」
「……いや」
なんだろ。不機嫌っつーよりただ言いづらそうな感じの顔だ。
コップに口をつけつつも瀬戸を見てると、諦めたような溜め息を吐き出した。
「───…位」
「ん?」
「え?」
「なに?」
テレビも点いてないのに聞き取れなかった言葉に、多貴、伊織、俺が綺麗に揃って首をかしげたことに瀬戸は驚きながらも、目をそらしてまた口を開いた。
そして次に聞こえてきた言葉に、沈黙した。
「……、9位」
…………。
「えぇぇええ!?」
「……」
「はあ!?」
唯一黙る伊織を置いて、俺と多貴が同時に叫ぶ。
いやだって、9位って!いま9位って言った!?ちょい待ちよ!学年別にしたって90はいるんだけど!?
「……ハニー知ってた?」
「うん、まあ、順位表見れば目に入る位置にいるからね」
「それって毎回?」
「まあ、今まで見てきた中では毎回かな」
「……」
そんなカップルの会話で固まる彼氏に、伊織は苦笑い。
「…瀬戸、」
「なんだよ」
流石にもう言わせてもらうわ。
「お前は不良じゃない!」
「突っ込み所の意味がわかんねぇよ」
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