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短編集(~2019)
04
 


「東坂、オムライス出来たぞー」
「おう、ちょー待て」


 ほかほかの出来立て半熟卵のオムライスをテーブルに置く。
 居間にはテーブルが二つある。なぜか。
 安易キッチンの近くにある、食卓用らしきテーブルと、テレビ側にくつろぎ用っぽいテーブル。
 雑誌を真面目な顔で見てた東坂は雑誌を置いて、怠そうにテーブルにつく。
 確認して、手を合わせる。
 これは習慣。東坂もちゃんとやりますよ。


「いただきまーす」
「イタダキマス」


 ……カタコトだけどね。
 ちょっと気になった事がある。


「博多訛りで『いただきます』ってなんつーの?」
「もらうけん。……ばってん、いんま良く思われんけんがら標準語にしてからんばい」
「……へぇ、なるほど」


 なんとなーく単語が分かってくる。結構刺激になるよな、こーいうのって。

 なんて考えながらオムライスを胃におさめていきながら、向かいに座る東坂を見れば。
 幸せそうな顔でオムライス食ってる。
 お前、わざと?


「……うまい?」
「めちゃうまか」


 イメージ壊れて来てる気がする、東坂の。
 可愛いから許す。

 なんか二ヶ月弱過ぎたけど、いまさらながら新しい生活が始まりそうだ。
 卒業したくねぇ。


「…ごちそーしゃまやった」
「お粗末さまでした」


 30分くらいかけてゆっくり夕飯食ってまったりして日曜もこんな感じだろーなあ、なんて思った。

 ただひとつ違うのが、東坂とかなり喋れるようになったこと。
 嬉しい。嬉しくてやばい。
 なんだろうこれ。
 むずむずするんだけど。まさか恋?


「どげんしたんばい五十鈴、ぼけっっちしてから」
「な、ななんでもない!」


 ……まさか。
 癒されてるだけ、だよな?


END
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三年目にして新しい生活。
三年目にして新しい恋の予感?



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