白と黒 エイミの日記 ◯月◯日 晴れ 今日は水が戻ってきた。 でも、モンスターもきた。 お母さんはモンスターに食べられた。 お父さんは怪我をした。 私も怪我をした。 早く元気になってお父さんを元気づけなきゃ! 神様…天国のお母さんは元気にしてますか? …会いたいよ、お母さん ◯月◯日 晴れ 今日は町の復興を手伝った。 木を運んで、穴を掘って母さんを近くの森に埋めた。 とても、悲しかった。 涙が止まらない。 お母さんの顔が見れなかった。 町の人たちは一緒に泣いてくれた。 「いい人だったのに。」 って言ってくれた。 嬉しかった。 私はこの町の人が大好きになった。 ◯月◯日 曇り 久しぶりに日記を書いた。 最近は復興に忙しくてすぐ寝てしまう。 お父さんも大部良くなって、みんなと一緒に頑張ってる。 私ももっと頑張らなきゃ! お母さんが前言ってた。 「もうあなたも18なんだから自分のことは自分で責任を持てるようにしなきゃね。」って。 ◯月◯日 晴れ 皆の様子がどこかおかしい。 あれから一年はたとうとしている。 最近挨拶をしてくれなくなった。 近所のおばさんも、果物をくれなくなった。 皆疲れてるのかな? お父さんに言ったらとても、悲しそうな顔をしていた。 何も言ってくれなかった。 ◯月◯日 今日お城へ呼ばれた。 よくわからないけれど私は黒魔導師だから城で働くか、この国から出ていくかどちらかにしなさいと言われた。 お父さんが連れていかれた。 城で働くみたい。 皆の目が冷たい。 ◯月◯日 雨 今日石を投げられた。 頭に当たったけど仕方ないとおもった。 近所のおばさんにいわれた。 「ここはあんたがいるところじゃない、さっさと出ていけ」って。 私何か悪いことしたの?お母さん ◯月◯日 家を追い出された。 お父さんは砂漠で息絶えたらしい。 あわせてくれなかった。 お城に行ったら追い返された。 悲しい。 …私もお母さんとお父さんの所にいきたい。 ◯月◯日 雨 森の中に家を建てた。 一人で頑張ったよ!お母さん!お父さん! 森には皆寄らなくなった。 私が居るからだって。 時々町に出掛けて買い物をしようとしてもなにもくれなかった。 「お前にあげるものはない」って言われた。 泣きながら森に戻った。 ◯月◯日 雨 一人の男の人がきた。 彼はとても優しかった。 彼は私の作ったスープを美味しい美味しいと言って飲んでくれた。 嬉しくて涙が出てきた。 こんな暖かい気持ち久しぶりだった。 彼は私の手をやさしく包み込んでくれた。 ◯月◯日 彼はまた来てくれた。 たくさんの果物を持ってきてくれた。 それと一緒に指輪を指につけてくれた。 嬉しかった。 とっても綺麗な指輪! 私にはもったいないくらい。 ◯月◯日 晴れ 子供を授かった。 どっちかな?男の子?女の子? とても楽しみだった。 彼も喜んでくれた。 子供の服を買ってくれた。 彼は今まで以上に優しくしてくれた。 一緒に居てくれた。 ◯月◯日 曇り 赤ちゃんが産まれた! 可愛い私の子。 男の子だった! にこにことしながら私を見てくれた! 私の家族!大切な家族! これからよろしくね!ハリス!! ◯月◯日雨 彼はいった。 子供もできたから町で暮らそうって。 怖くなった。 でも、勇気を振り絞って行くことにした。 ◯月◯日 町へきた。 皆赤ちゃんをみて、喜びはしなかった。 むしろ「厄介な奴が増えた」ってハリスと私に石を投げてきた。 ごめんね、ハリス 痛かったよね。 ごめんね。 彼は私をずっと庇ってくれた。 ◯月◯日 雨 ハリスが泣きながら帰ってきた。 どうしたのか聞くと、皆にいじめられたって泣いてた。 私も涙が出た。 彼が戻ってきた。 彼も疲れはてていた。 窓ガラスも何回直しただろう? また、割られた。修理しなきゃ。 ◯月◯日 はれ ハリスは外に出なくなった。 私も外に出なくなった。 彼は家に帰らなくなった。 ハリスにお父さんは?って聞かれた。 ごめんねって。 何回も言うしか無かった。 彼は頑張ってくれた。 そう思った。 ◯月◯日雨 追われるように森の家に帰った。 ハリスが熱を出して苦しそう。 薬なんてどこにもない。 なにもしてあげられない。 ごめんねって言うことしか出来ない。 でも、ハリスは笑ってくれた。 しんどいのに私の顔を見て笑ってくれた、 涙が止まらなくなった。 ◯月◯日 晴れ ハリスも元気になって、近くのお花畑に遊びにいった。 はしゃぐハリスをみて、今日は楽しかったな。 久しぶりにあんな笑顔を見れた。 ハリスは町に行きたいとは言わなかった。 もう、分かってしまってるのだろう。 また涙がこぼれた。 ◯月◯日曇り 胸が苦しい。 ハリスは心配そうに見てくれてた。 ハリスは町まで薬をとりに行ってくれた。 ありがとう。 帰ってきたハリスは、怪我だらけだった。 とうしたのって聞いたら転けたって言ってた。 嘘ばっかり。本当は皆に…。 片手には薬を握りしめて、私に渡してくれた。 ごめんね。 そればっかり。 涙が溢れてハリスは心配そうに見てた。 一生懸命笑わさせようとしてくれた。 ありがとう。 ◯月◯日 晴れ 町の人が来た。 この間の薬代を出せって言われた。 やっぱりあれだけじゃ足りないよね。 私は必死に謝った。 「謝ってすむもんだいじゃない」って蹴られた。 それでも謝った。 何度も蹴られてあちこちが痛い。 ハリスが居ないことに気づいた。 探したけどどこにも見つからない。 夜になってハリスが戻ってきた、 薬草を渡してくれた。 またこんなに怪我して。 ありがとう。 また、涙が溢れてくる。 ◯月◯日 晴れ ハリスまた背延びたね! 私はハリスに父がよく来ていた服を渡した。 お父さんの服だよって言ったらハリスはとても喜んでくれた。 まだ大きいね。 これからも少しずつ成長していくんだ。 悲しくなった。 息子の成長に素直に喜べない自分に。 大きくなってもここに縛られるのかな? ずっとこのままなのかな? 明るい未来は来ないのかな? ◯月◯日 雨 ハリスが言った。 町の人たちは嫌いだって。 私はハリスを怒ってしまった。 「嫌いになっちゃダメだよ」って。 そんな人たちだけじゃないよって伝えたかった。 ハリスは泣いた。 久しぶりにみた涙。 ずっと我慢してたんだね。 私も泣いた。 ごめんね。 そればっかり。 何一つ変わらないのに。 皆と一緒なのに、 私のせいなんだ。 ◯月◯日晴れ ハリスは薪を割ってくれていた。 ごめんね。 また言っちゃった。 ほんとは皆と遊びたいよね? 町へ行きたいよね? 皆と何一つ変わらない暮らしをしたいよね? 幸せになりたいよね? ごめんね。 町に出して皆と遊んで欲しい。 でも、出来ない。 また涙がでてきて、ハリスに見られないように影でないてしまう。 なんてよわいんだろう?私は。 町のひとをどうか、嫌いにならないで!ハリス ◯月◯日 苦しい。 胸がひどく痛む。 あー、ごめんね。 ハリス。 ◯月◯日雨 もしも、ハリスがこの日記を読んでる頃にはお母さんはどうなってるだろう? 死んじゃっちゃったかな? ごめんねばっかりだったね。 でもね。 お願いだから町のひとを嫌いにならないで。 町の人達を恐れないで。 いつか自分の事を理解してくれる…そんな人が現れるから。 きっと。 だからその時は恐れないで、一歩前へ踏み出してみて? きっと幸せな未来があなたをまってるから。 母さんは幸せだったよ ハリスと暮らせて。 お友だちをたくさんつくってね。 ◯月◯日 晴れ わたしももうきっと ◯月◯ ありがと う エイミは涙を流した。 だが、何故か笑顔がこぼれていた。 (…やっと貴方にも、あなたを理解してくれる人が現れたのね。) そう言い残すと、彼女は消え、そこにハリスが戻ってくる。 ハリスは食材を手にキッチンへ向かっていった。 ふと、母の日記に目がいく。 (…母さん、最近変な奴が居るんだ。でもそいつ…案外悪い奴じゃないの…かも…。) そう日記に問いかけると、ハリスは早速食事の支度をしだす。 夕日は綺麗に森を包み込んでいた。 [*前へ][次へ#] |