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ON×OFF
タッツミーがジーノのインタビュー記事を読んでいるお話です




GINO'S ON×OFF


日本のサッカー界で現在最も注目されているチーム、ETUのエースであるジーノ選手の仕事とプライベートについて、一問一答形式で迫ります!甘いマスクだけではない彼のONとOFFの魅力をどうぞご堪能ください!


Q.まずはONの部分からの質問ということで、ご自身のお仕事についてお伺いします。

A.知っている人も多いとは思うけれど、ボクはサッカー選手だからプロとしてボールを蹴ることが仕事だといえるね。完璧なプレーを求められたならば、それを苦もなくやってみせるのがプロのスポーツ選手というものさ。ピッチの中での自分の役割を理解して最高のプレーで観客を魅せて、そして仲間と共に勝利を掴む。ても楽しくてやりがいのある仕事だよ。ボクは今、ETUの10番であることに誇りを持ってプレーしている。こんなにも試合が楽しいと思うのはね、監督のおかげなんだ。だからボクは彼にとても感謝しているよ。


Q.今夏は厳しい暑さにも負けず、フル出場なさっているんですよね。すばらしいです!

A.ありがとう。ピッチに立ち続けるのはなかなか簡単なことではないからね。入念なケアや体調管理が必要になるし、メンタル的な部分だって関係するんだ。楽しくて面白い試合は最後までプレーしたいのは当然だし、今シーズンは負けられない試合が多かったからね。だからボクも頑張って試合に出続けているんだよ。ETUの10番を背負っている以上、エースが休んでばかりいたら駄目だろう?皆がボク達の活躍を待っていてくれるなら、その思いに応えたいのさ。


Q.このまま試合出場記録を更新して下さい! 

A.確かに記録を更新してみるのもいいかもしれないね。自分自身への挑戦はどんなことでもすばらしいと思うからね。


Q.左足からの華麗なシュートでゴールを決めてくれるジーノ選手ですが、そのすばらしいゴールや緻密で正確なパスには何かコツや秘訣などはあるのでしょうか?

A.ふふ、それは秘密だよ。王子には秘密の1つや2つあるものさ。


Q.試合を観戦しているとETUの選手の皆さんの仲の良さが伝わってきますが、特に親しくしていらっしゃる方は?

A.そうだね、ボクは皆と仲が良いよ。試合中もそれ以外でも上手くコミュニケーションが取れているからね。愛称で呼び合えるのも仲が良い証拠さ。特に親しい、か……可愛がっているのは、バッキー(椿大介選手)とザッキー(赤崎遼選手)だよ。最近彼らはU-22で活躍してくれたから、目を掛けているボクとしても鼻が高いよ。今後の彼らのさらなる成長が楽しみだね。そうそう、自分のお気に入りの選手を見つけて、その選手の成長や活躍を応援するというのもサッカーの楽しみ方の1つだからね。今このページを読んでいるレディ達は勿論ボクのことを応援してくれるよね?


Q.今後も強豪チームと対戦することになると思われますが、どのようにお考えですか?

A.ボク達のチームは進化の途中だから、今以上にETUというクラブ全体が1つにまとまって変わっていかなければならないんだ。タッツミー(達海猛ETU監督)が掲げるジャイアントキリングはまだ続いていくということだね。ボクもチームに勝利を捧げられるようなすばらしいプレーをしたいと思っているよ。


Q.今後のジーノ選手の活躍が楽しみですよね!では、OFFについての質問を。サッカー選手は趣味もサッカーになるのでしょうか?ジーノ選手のご趣味は?

A.ボクの趣味は椅子を集めることかな。椅子をコレクションすることはここ数年間続いている趣味だね。以前は200万円の椅子に興味があったかな。


Q.では、最近ハマっていることは何でしょうか?

A.ありきたりな答えで申し訳ないけれど、料理だよ。食べてくれる相手への想いを込めて作るんだ。だから、美味しいよと言ってもらえると幸せな気持ちになるんだよね。ちなみに得意なのはイタリアの家庭料理さ。ミネストローネや生ハムを乗せたじゃがいものニョッキはオススメだよ。手料理を食べながらワインを楽しむ時間はちょっとした至福を味わえるね。


Q.ご自身の中でのこだわりは何かありますか?

A.そうだね…シンプルさ、かな。シンプルであることにこだわりを持っているよ。綺麗に着飾った美しさも勿論素敵だとは思うけれど、過度な装飾は好きじゃないかな。飾らない笑顔が一番美しいと思うんだ。だからボクはシンプルな美しさを求めるね。


Q.尊敬する人は?

A.両親と、さっきも言ったけど監督だよ。両親にはボクを産んでくれたことを感謝しているから、大切で尊敬する人達だよ。そして、監督についてだね。ボクは彼のことは親しみを込めてタッツミーと呼んでいるんだけど、タッツミーは本当にすごい人なんだよ。彼がETUの監督になってから、前よりもずっと試合が面白くて楽しいと感じるようになったんだ。彼の作戦や練習メニューも奇抜で面白いと思う物が多くてね、その裏側に隠された意図をボクなりに読み解くのもわくわくするんだ。そして、彼のフットボールに触れていくうちにね、チームの為に監督の為に勝利したいと強く思うようになったのさ。ETUの10番であることにちゃんと責任を持ってプレーしていかなければね、と。ボクの中で大きく考えが変わったんだ。彼はボクのサッカーに対する価値観を変えてくれた人なんだよ。そんな風に誰かに影響を与えて良い方向へ導くことができる人って素敵な人だと思わないかい?ボクはそう思うから、彼のことを尊敬しているんだ。


Q.恋愛観について伺います。好きなタイプも教えて下さい。

A.何故かボクはチームの皆から遊んでいるとか軽いとか思われているみたいなんだけど、全然そんなことはないからね。ボクは『王子』なんだから、とても紳士的なんだよ。あれ?それは本当かなと疑っているという顔だね。心外だなぁ(笑)そうそう、ボクの好きなタイプについての質問だったね。ボクは強くて、そして優しい人が好きだね。『強い』というのは、つらく苦しいことがあっても自分の足でしっかり立って真っすぐに前を向いて歩いて行ける、そんな美しい心の強さに惹かれるんだ。それでも疲れた時にはボクにうんと甘えて欲しいと思うよ。ボクが支えになってあげたいんだ。そっと優しく傍らに寄り添ってね。ああそれから、楽しいことを一緒に楽しいと思える、そういう小さなことも重要だったりするよね。一緒に笑ったり抱き締め合ったり、そんな風に大切な人との愛しい絆を育んでいきたいな。


Q.ご自身の生き方について

A.これはプロのサッカー選手としてのボクとユニフォームを脱いだ後の普段のボクの両方を答えようかな。少し前に心揺さぶられる出来事があってね、選手としての時間は永遠に続くことはなく限りがあることを改めて感じたんだ。今まではそんなこと気にしてはいなかったんだけどね。まぁそれはどんなことにでも言えるのかもしれない。そんな風に感じるようになって、ボクは悔いの残らないプレーをしたいなと思うようになったんだ。あの時あそこにパスすれば良かったとか、もっとゴールを決めれば良かったとか、それこそもっとボールを蹴りたかったのになんて思うようなことがない選手人生にしたいってことだね。だからボクは『今』を大切に、そしてボクと『今』この時を共にする仲間と共に一生懸命プレーしたいんだ。それから、普段のボクの生き方も考えてみようかな。ボクはこれからもボクの道を真っすぐに歩いていくんだろうと思うけど、楽しいことを見つけたら寄り道してみたり、美しい物には心を震わせたり、疲れた時には木陰で少し休憩したり、そんな風に生きていけたらいいと思っているよ。年齢を重ねて後ろを振り返った時に、ボクの歩いてきた道に可憐な花が咲いているといいな。うん、何だか長々と語ってしまったけれど、やっぱり自分の生き方を考えることは難しいね。


最後に読者の方へのメッセージをお願いします。

このインタビューを読んで、きっとボクの色々な魅力を分かってもらえたと思うんだ。だから、次はボクに会いに試合を観に来てくれると嬉しいな。ボク達ETUの選手の華麗なプレーに是非とも酔いしれて欲しい。きっとあなたを魅惑の世界に連れて行くことをお約束するよ。


ETUの王子、ジーノ選手への一問一答形式のインタビューはいかがでしたでしょうか?本誌では今後もジーノ選手を追い掛けていきたいと思っております!魅力溢れるジーノ選手からますます目が離せませんね!





「何を読んでいるんだい?」


ベッドに寝転んでこちらに背を向けている恋人にこっそりと近付いてそんな風に声を掛けてみたら、彼は大きく肩を揺らしてジーノの方を見た。


「うわっ、何だよもう!びっくりするからいきなり入ってくんなよ。っていうか、今日…約束してたっけ?俺、忘れてた…?」

「約束は特にしていないけど、恋人に会いたい時にはそんなことは関係なく会いに行くものだよ。それよりさ、さっきから何を読んで…」

「んー、」


達海はベッドからのそりと起き上がると、ジーノの前に1冊の雑誌を差し出した。


「この雑誌…ボクのインタビューが載っている人気の女性ライフスタイル誌だね。ははっ、表紙のボク、美しく撮れているよね。」


達海が自分の一問一答形式のインタビューのページを読んでいたことに気分を良くしたのか、ジーノの声は明らかに弾んでいた。


「ねぇ、サインしてあげようか?ボクのサインは貴重だよ。」

「別にいらない。」

「つれないなぁ、君って人は。」


ジーノは恋人の素っ気ない返事に大袈裟に溜め息を吐くと、達海の隣に移動してベッドサイドに腰掛けた。


「それにしてもこの雑誌をタッツミーが持っていたなんて。」

「有里に貰っただけだよ。で、暇だったから何となく読んでただけ。」

「うん。やっぱりそうだよね。そうだろうとは思ったけど。」

「ご本人登場にはさすがにびっくりしたけどね。」

「そうだね。」


予想通りの答えにジーノは微苦笑を浮かべるしかなかった。答えなど最初から分かりきってはいた。隣に座るこの恋人は大切なフットボール以外には基本的に無頓着なのだ。恋人である自分のことだっていつも最低限しか構ってくれない。ジーノの想いを受け入れて、こうして隣に寄り添ってくれるだけでも多分本当はすごいことなのだろう。だから雑誌やCMをチェックして欲しい、ボクのことをもっと気にして欲しいと口にはしても、彼がそうしてくれないことを強く咎めるようなことはしなかった。寄り添ってくれるだけでいいのだ。一緒に歩いている今この時がジーノにとっては奇跡のように感じられるからだった。


「ボクのインタビュー、どうだった?」


それでもせっかく達海がインタビューを読んでくれたのだからこれは感想を知りたいなと思い、ジーノは恋人の顔を覗き込むようにして尋ねてみた。


「お前って、この手のインタビュー、よく受けてるよな。あんまりフットボールに関係ないやつ。」


達海が手の中の雑誌にそっと視線を落とした。そこにはトレードカラーの赤と黒を基調としたユニフォームでボールを蹴る姿や白シャツ1枚にジーンズというシンプルな服装で草原に立っている姿、ワインレッド色のクラシカルなスーツを身に纏い、北欧の高級家具ブランド製の椅子に座って優雅に脚を組んでいるジーノが微笑みを浮かべていた。達海が両手に持つ雑誌へとジーノも視線を向ける。ページの中で笑みを湛えている自分はやはり美しいじゃないかと思った。


「いつも思うけどさ、こういうの恥ずかしくないの?」

「別に恥ずかしくはないよ。ボクの魅力を美しく表現してくれるなら大歓迎だよ。」

「お前ってそういうとこ、本当にすごいよなー。」


達海は呆れ半分感心半分な相槌を打ったが、不意にその表情を少し和らげてジーノを見た。


「…まぁ、最後のメッセージのとこで、チームの宣伝してくれたのはありがとな。まだまだファンやサポーターは足りないからね。もしかしたらお前のおかげで増えるかもしんないな。お前の影響力って意外とすごいからなぁ。」

「少しでもタッツミーの役に立てて嬉しいよ。君にお礼を言われるなんて、このインタビューを受けた甲斐があったというものだね。」


雑誌の一問一答の内容について、それからも2人で面白おかしく語り合っていたのだが、視界の隅に何かが映り込んだ気がして、ジーノは座ったまま首を動かした。


「あれ?」


ベッドの端の方に追いやられていた掛け布団とマットレスの隙間から黒い袋が見えた。長方形のそれはちょうど中に雑誌が入っているくらいの大きさだ。何だろうと気になったジーノは手を伸ばして袋を引っ張り出した。


「タッツミー、この袋が掛け布団の中から出て来たんだけど。」

「えっ?ちょ、おい!やめろ!それは…」


珍しいまでの達海の慌てっぷりに、もしかしたらとジーノは達海の制止の言葉に構わず、黒い袋の中に手を入れて中身を取り出した。


「やっぱり、」


白いシーツにくるまって艶やかな表情をしている自分と目が合う。それは先ほどまで恋人が1人で読んでいた雑誌と全く同じ物だった。


「タッツミー…」

「……あー…なんか、ちょっと気になっちまって、コンビニで買おっかなーとか思ったら売り切れてやがるし、だから商店街の本屋で…この前、その…」


『少し前にね、人気の女性誌のグラビアとインタビューを受けたんだけど、その雑誌がもうすぐ発売されるんだよ。』

『ふーん、そうなんだ。』

『タッツミー、その反応酷い!』

『えーだって別にお前のインタビューとかそこまで興味ねえし。』

『格好いいボクがたくさん見られるんだよ?いいかい、絶対に見てよね、タッツミー!』


ジーノは少し前に達海と交わした会話を思い出した。あの時の達海はそんな物全く興味はございませんと、いつものようにジーノのお願いにどこ吹く風な態度だったのだ。それなのに。


「本当に君は可愛いね!」

「はあ!?」

「興味がないって顔をしていたのに、こんなにもボクのことを!」

「うっさい!これは…ただ気になっただけだかんな。…それに、」

「それに?」

「やっぱりさ、こんな紙きれなんかより…本物の方がずっと男前じゃん?」

「ああ、君はどこまでボクを夢中にさせるんだい?」


もっとタッツミーのことを話せば良かったかな?ボクには大切な人がいるんだよって。照れ隠しでそんな風に少しだけおどけてみせたら、インタビューで答えなくたってそんなの俺だけが知ってりゃいいんだよと意外にも真面目な声が返って来た。


「お前には、俺だけだってね。」

「タッツミー!」

「……あとさ、『そっと優しく傍らに寄り添って』くれんだろ?…まぁそこまで疲れちゃいないんだけどね。でもさ…」


大好きな笑みがすぐ側にあって。幸せそうに頷いたジーノは達海をそっと腕の中に閉じ込めると、優しいキスを1つ落とした。






END






あとがき
一度は書いてみたいジーノのインタビューにまつわるジノタツのお話です。こういう雑誌ネタは考えるのはとても楽しいのですが、センスが問われますね。悲しいまでにセンスがないので、ジーノの受け答えに華がなくてすみません。一問一答ももっと色々な質問を考えてみようかなと思ったのですが、私の頭の中ではジーノのグラビアページの端の方にちょこっと受け答えの文章が書いてあるような、そんなスタイリッシュな感じをイメージしていましたので、力尽きました^^;サイン入りのジーノの雑誌があったら、ものすごく欲しいです!いい値で買うよ!


表面上はどうでもいいよーみたいな感じでも、本当はどんなことを語っているのか気になってジーノが載っている雑誌とかをこっそりチェックしちゃうタッツミーは可愛いと思います。自分で買った分は保存用にすればいいですね^^そしてタッツミーは雑誌を読まなくてもジーノのことをちゃんと分かっているからもうそれだけでいいです(*^^*)


読んで下さいましてありがとうございました!

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あきゅろす。
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