03 ◆ 「あのさあ、どうもお前に惚れてるらしいんだけど」 残業上がりの森下に告げると、もともとでかい目を、これでもかというほどに見開き驚いていた。数分たっても黙って俺を見上げたままで。 「返事は?」 問いかけるが固まったままの森下。 「おい」 頬に軽く触れるとビクリと体を揺らし、ようやく動いた口。 「あの……! 今なんて……」 「惚れてんの」 耳元で言うと、逃げるように離れていった。 「ほ、惚れ……?」 「そ。俺がお前にな」 また固まった…… あんぐりと口を開き、目をパチクリさせながら。 「返事は?」 「お返事……」 告白なんて初めてのことで、どうやって言葉にしていいのか分からねぇから、そのままの気持ちを言うことにしたのだが…… こんなに心臓が苦しくなるもんなのかと、正直ビビった。 精一杯に平静を装いながら返事を待ってはいるものの、いっこうに返ってこねぇことに苛々する。不安な気持ちが押し寄せてくる。 どうなんだ……? お前は俺のことをどう思ってる? *←→# |