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あんなホテルじゃ洗濯できたのは下着だけで、出社したままの格好の為、着替えを買いにとりあえず入ったデパートで物色していた途中にメールが入り、愛姫の家の番号が分かった。
当然すぐにかけてみたが、やはりというか。
何度かけても留守電につながるばかりだ。
くそ、いい加減本気で腹がたってきた。土地勘のない場所では探しようもねぇ。
手当たり次第に探したところで時間の無駄だ。

あいつの言う通りいっそ帰ってしまうかと、支払いをすませてパーキングへと向かう。途中に見つけたカフェに入った。
……そういえば昨日の昼以降、何も食ってねぇ。アイスコーヒーとパスタを注文したあと、タバコに火をつけて一息ついていると、後ろから肩を捕まれた。

「おい!」

こんな知り合いもいねぇ場所で、誰かと思えば高橋だった。

「あ?……何してんだお前」
「俺にあんなこと言ったアンタが何泣かしてんだ!」
「会ったのか? あいつ今どこにいる?」
「……みどりの家で泣きじゃくってる」

ああ、昨日の酔いつぶれてた奴か。

「おい、そこ連れてけ」
「は? 無理だから」
「だったら調べて勝手に行くまでだ」
「は? あ、オイ! それ俺の!」

胸ポケットに入っていた携帯を抜き取りアドレス帳を開くと、惚れているというだけあって、探すまでもなく一番最初に名前はあった。

「これか」
「勝手に見てんじゃねぇぞコラ!」

慌てて俺の手から奪い返し、今度はしっかりと持っていた鞄の中に携帯を入れた。

「ご丁寧に住所も入れててくれて助かったよ」
「最低だな。こんなこと許されっと思ってんのか!」
「さあ?」

腹ごしらえなんかしてる場合じゃねぇだろ。




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