04
「ハル? ハール、ハルってば!」
「……あ?」
「いただきますしてからずっと、あたしの顔見てるから。もしかして呆れてる?」
「何に呆れるんだよ」
「よく食べるなぁ。だから太るんだよ。とか……」
「何でだよ。そこまで喜んで食ってくれんならむしろ嬉しいだろが、普通」
「ハルも? ハルも嬉しい?」
「当たり前だろ」
安心したのかにっこり微笑んでまた食い始める。
お前のことを考えてたなんて……
口が裂けても言えやしねぇ。
◆
「ごちそうさまでした!」
両手を合わせて満足そうに言う。また見事に平らげてくれたもんだな。作り甲斐があるってもんだ。
「おい、ついてる」
愛姫の口元から絡め取り自分の口へ運ぶ。それだけの行為。だけどコイツは真っ赤になって照れる。
「あ、あ、あ、ありがと……」
どもってるし。
「うまかった?」
「あ、う、はい。おいしかった。とっても……」
まだ上手く口が回らねぇ愛姫が、ジっと見つめる俺の視線に耐えられなくなったのか、焦った様子で席を立った。
「あの、えっと……今から食器のおかたづけを始めるのです!」
なーんだそれ。わざわざそんな宣言しなくていいんだよ。
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