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「そろそろ出るか」

レストランを後にして、手を引きながら歩いていると、急に愛姫が立ち止まった。

「あの、晴……哉?」
「あ?」
「ちゃんと言っておきたくて」


───……なんだ?


「ありがとうございます……」
「は?」
「好……き……だって、伝えてくれて……」
「あー……」
「好き、大好きです……一緒にいたいです……」

それは突然の愛姫からの告白だった。あのレストランでのことは、無理に言わせてしまったようにも思えたが、これは違う。たぶん勇気を出してのことだろう。

さっきは心臓が壊れるほどに苦しかったが、今は不思議と落ち着いて受け入れられた。

繋がっている手を引っ張り、愛姫を抱きしめる。

「安心しろ。言っただろ? 手放してやんねぇって。お前がそれを望むんなら、なおさらだ」

そう告げると愛姫は、俺の背中に腕を回し、この短時間で、もう何度目かも分からない涙を溢れさせた。

そうだ、手放せるはずがない。
自分以外の誰かをこんなにも好きになり、その気持ちを教えてくれたコイツを……
俺の中に入り込んでしまっている愛姫を、どうやったら追い出せるのかなんてことを、俺は知らないし知りたいとも思わない。

やっと俺のものになった愛姫の心を、自ら捨てるという馬鹿な行為はしねぇ。

そしてお前を選んだことに、




───俺は一生後悔なんてしない───







FIN.
→後書き*オマケ

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