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05


「俺とつき合え」
「……え……?」
「責任とれよ」

さっき緩んだ表情は、音をたてるように呆気なく沈み、みるみる涙ぐんでいく。

「……責任……?」
「そ。この俺を惚れさせたお前が悪いんだから、責任持って俺とつき合え」

自分勝手な要求だと分かってはいる。そして今のこの状況は、コイツを困らせているだけだということも。
普通は上司が部下に言っていいことじゃねぇんだろうな。分かってはいるが、一度吐き出してしまった気持ちは抑えがきかない。

「お前に責任をとらせる代わりに約束してやるよ」
「でも、あの、それはあの……」

それは不安からか驚いているからか、戸惑いの声だけが聞こえる。

「絶対に俺のことを好きだと言わせてみせる。俺と出会って良かったって思わせてやるよ」

もちろんその自信があるからの言葉で、本当に約束もできる。







黙って待つこと5分ってとこか。これ以上に追い込んでみたところで無駄だろう。
逃がすつもりはねぇが、考える猶予を与えてみようかと思い始めていた時……
恨めしそうに、怯えるように涙ぐみながらも、コクンと頷いた。

……これは……

「……おい」
「は……い……」

もしかして

「今のは…… つき合うってことなのか……?」
「……はい」
「もう一回聞くぞ。俺とつき合うのか?」

ゆっくりと首を下に向け、もう一度頷いてくれた。

マジか……
いや、物凄ぇ嬉しいんだが。なんつーか、人間あんまり嬉しいと言葉にならないもんだな。

ふと目をやると、頬を真っ赤に染め、目をキョロキョロとさせながら、どうしていいのか分からないというような森下が見えた。

やべ……
可愛すぎんだろうがアホ女。




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