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06


寝不足のうえに長い残業と、さすがに疲れもたまり体は辛いが、押し倒したい衝動を我慢するという理性との戦い。こっちの方が何倍も辛い。

「よし、帰って寝るか」

雑念を振り払うように、帰宅準備を始める。

「使った書類返してくる」
「俺が行くから着替えてこいよ」
「ありがと」

更衣室に走る愛姫の後ろ姿を見届けてから、資料室へ行く。

足早に戻ってみるとオフィスに愛姫はいない。少し待ってみるが戻ってくる気配はなく……

「おい! 遅ぇよ! いつまで時間かかってんだ」

更衣室の扉の前で声をかけるが返事がない。

「愛姫? 入るぞ?」

ゆっくりドアを開くと、制服のまま座り込んでいる愛姫がいた。
近づいてみると、規則正しい呼吸が聞こえる。

「寝てんのかよ」

さてどうしたもんか。俺が着替えさせて連れて帰るか、起こして自分で着替えさせるか。どちらにせよこんな床に寝かせてる訳にはいかない。

「愛姫、風邪ひくぞ」

やっぱ駄目か。熟睡型の愛姫は、一度寝るとなかなか起きない。この時間まで頑張っていたのなら尚更だろう。
しょうがねぇ。

頭と膝の下にそっと手を入れて抱きあげる。いつ抱き上げてもやっぱ重い……
まぁその分、柔らかくて抱き心地はいいのだが。

気持ち良さそうにスヤスヤと眠る瞼にそっと口づけて、歩き始める。







ベッドにそっと愛姫を下ろす。
車で揺られても、帰りついてもやっぱり起きない。このままだと制服シワになるんじゃねぇか? ま、この家にも制服替えはあるしいいだろ。

つーかもう…… 俺も駄目だ。スーツを脱ぎ捨てて、ベッドに倒れ込んだ。
あー、やっと寝れる……

「おやすみ……」

マシュマロのように柔らかい頬を撫で、瞼にキスをし目を閉じた……






FIN.
→後書き*オマケ

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