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狂愛※(京天)
京天
グロ注意
剣城が普通じゃない
剣城視点
















気がついたら、俺の手にはナイフが握られていた。
そして目の前には、右目からだらだら血を流し、痛みに耐える松風が怯えた表情で俺を見ていた。
おい、大丈夫かよ。
少し心配になって手を伸ばしたら、松風が逃げるように後退る。
それを捕まえて自分の方に引き寄せると、これでもかってほど暴れられた。
何で松風はこんなに俺を怖がっているんだ?
上手く状況が飲み込めず、困惑する俺の一瞬の隙を突いて松風が俺を突き放した。
ゆらりふらつく体制を何とか立て直し、何するんだ、と松風を睨み付けるとこいつは残った左目から大量に涙を溢れさせてごめんなさいを馬鹿みたいに繰り返し始めた。
俺はため息をついて松風の左腕を掴んだ。
すると面白いほど松風の身体がはねあがる。
それに構わず俺はぎりぎりとこいつのほっそい手首を握り締める。
折れてしまうのではないかと不安になるぐらい、強く。


「っ、いたい、痛いよ剣城ぃ…っ!」


折れちゃうから、離して。
えぐえぐ泣きながら、顔をぐしゃりと歪ませて松風が俺にすがり付く。
お願いします、許して下さい。
そう言ってこいつは何度も何度も頭を下げた。
しかし松風の必死の願いも虚しく、俺は無情にもこいつの手首をへし折った。
耳をつんざくような悲鳴が松風から上がる。
おい、大丈夫かよ。
顔を真っ青にしてぶるぶる震える松風が心配になって、そっと頬に手を添えて左目から溢れる綺麗な涙を拭ってやった。
それでも松風は泣き止まなかった。
何で松風はこんなに泣いているんだ?
状況が上手く飲み込めず、困惑する俺を見て松風が恐怖で歪んだ顔を更に歪ませた。
仕方なく俺が松風を抱き締めると、ひっと小さな悲鳴が耳元で聞こえた。
かたかたと震え、小さく身じろぐ身体を力一杯抱き締めると、ひゅっと松風の喉が鳴る。
声にならない声で必死に痛いと俺に訴える。
無視して松風を抱き締める両手に更に力を込めると、細い身体がみしみしと軋み、苦しそうな呻き声が松風から溢れた。


「っう、いたい、剣城、いだいよぉ…!」


いやいやと頭を振って必死に俺を振り払おうとしている姿はなんとも愛くるしい。
そしてなんの前触れもなくぱっと松風の身体を離すと、突然のことに対応出来なかった松風は床に折れた左手から倒れ、訪れた凄まじい激痛に悲痛な叫び声を上げた。
涙と鼻水と血で顔をぐちゃぐちゃにした松風はとても綺麗だ。


「綺麗だよ、松風。」


優しく微笑んでそっと頭を撫でてやると、やはり松風はぼろぼろに泣いた。
何で泣くんだ?
俺は何一つ松風を泣かせるようなことはしていないのに。


「俺はただ、お前を愛したかっただけなんだ。」


片目を失い、片手も折れてしまった可哀想な松風。
お前みたいな欠陥品を愛してやれるのは俺だけなんだよ、と。
そう耳元で囁いた。










END

後書き
私の書く京天ってこんなんばっか\(^O^)/

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