[携帯モード] [URL送信]

GO
コ・ディペンデンシー(京天)
京天
剣城視点
















知ってる?
人間には二種類の人間がいるんだって。
ひとつは必要とされる人間。
もうひとつは必要とされない人間。
それはつまり、簡単に言えば生きてても仕方がない人間ってこと。
さて、剣城はどっちの人間かな?
天使みたいな笑顔でなかなかえぐい質問を投げ掛けた松風に苦笑を浮かべつつも俺は自信ありげに答えてやった。


「確実に前者だな。」


満面の笑み、とまではいかないが、それに近い笑顔で言い放った俺に松風の表情が強張った。


「うわー、剣城ってば自信過剰だね。」

「そう言うお前はどうなんだよ?」


少し小馬鹿にしたような松風の態度が気に入らなかったから、すかさず同じ質問を投げ返してやった。
すると松風は一瞬きょとんとしたが、直ぐにうーんと唸り考える素振りを見せる。
それからにこりと笑って松風は言った。


「勿論、前者だよ。」


俺なんかより自信満々に、尚且つ当たり前の様に答えた松風に、なんだ、人のこと言えねぇじゃねえかと一人ごちる。


「だって剣城は俺が居ないと死んじゃうでしょ?」

「はぁ?死なねぇよばーか。」


訳の分からんことをさらっと言い放つ松風に、さっきの仕返し、と今度は俺が馬鹿にしたように言ってやる。
しかし松風はむっとする素振りひとつ見せず、俺の言葉対し微笑みを返した。


「あはは、馬鹿なのは剣城だろ?俺がいないとなーんにも出来ないくせに。」

「…そりゃお前の方だろうが。」

「何言ってるの。お互い様、でしょ?」

「…。」


俺は言葉を詰まらせる。
松風の言っていることが図星だったからだ。
何も言い返せなくなった俺に気を良くしたのか、松風は明るい口調で更に続けた。


「俺たちってさ、お互いに依存してるよねー。もう俺は剣城なしじゃ多分死んじゃうよ。」


頬を赤らめながら女子みたいにはしゃぐ松風はとても幸せそうだ。
それを眺める俺も例外ではない。
こうして俺たちはお互いをお互いに必要とし、誰かに必要とされる人間であり続けようとした。
自分の存在意義を見い出そうとしたんだ。
そしてこれはこの先も、これからもずっと永遠に続くだろう。
それが正しいのか間違っているのか、俺には良く分からない。


「…これからも宜しくな、剣城。」


だから、今はまだお互いに依存し続けてたって良いよな。
そう自分に言い聞かせて松風の言葉にこくりと頷いてやったら、こいつは今まで見せたことのない最っ高の笑顔で笑った。








(そして離れられなくなる、コ・ディペンデンシー)






END

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!