ハイヱ ツチナ
契り
画かれた二つの陣。
その一方に立つ。
契約内容はいつもと変わらない。
「 我 汝の力を欲す
汝 我の力を欲す
我が力を汝に与える
汝 我が力に成りえし 」
いつもと違うのは、室内の闇がざわりと動き出したこと。
そして闇は蝶の乱舞へと姿を変えた。
その奥で光る瑠璃色の双眸。
『 我が主と成りえし者
御印を結ぶ 』
ミシルシ――
背中を鋭い痛みが走った。
幾千もの刃で背を切り裂かれたような痛みだ。
だが痛みはその一瞬で、一度詰めた息を吐き出すと背中には熱だけが残る。
『 ここに、契りを結ぶ 』
乱舞していた蝶たちが消える。
闇が晴れたように視界に光が戻った。
そして対の陣に立つ男。
『 この身はお前の剣となろう 』
そうして凛音は牙を手に入れることになった。
[次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!