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そのに
「おはよー、今日も先生とらぶらぶだな!」

 友達が明るい声で言う声が、朝の廊下に響く。
 先生と僕が毎日一緒に登校してるから、そんなことを言うのだ。
 僕は真っ赤になって抗議しかけたけど、突然腕を引かれてそのくちを先生が塞いでしまった。

「んぁ……っ」

 掃除用具ロッカーの影に隠れたから誰にも見られなかったけど、
やっぱり恥ずかしい。

「せ、んせ……」

「何? ホラ早くしないと部活遅れるよ? 九条君」

 わざと苗字に君をつけて呼ぶ先生をにらんだけど、やっぱり大好きだった。
 だから思いっきり腕にしがみついてやった。
 
 腕から先生の暖かさを感じて、幸せが胸にしみこんでいくみたいだ。


 





 僕は水泳部で、先生はその顧問。
 更衣室は、すぐそこ。

「おはよ、みずき、俺先プール行ってるな」

「あ、加賀君! おはようっ僕もすぐ行くね」

 親友の加賀君ににっこり笑うと、先生が僕の腕をぐっと引いて、
更衣室の扉を勢い良くあけた。

 嫉妬、してくれてるのかな。
 だとしたら嬉しい。

「はい、早く着替えようね」

「えっと……はい……でも、先生は」

 着替えないですよね?
 なんで更衣室、一緒に入ってるんですか?

 なんて、言える雰囲気ではなかった。

「早く着替えようか」

 え。
 それってもしかして、
 もしかして…?

 先生の手には僕の水着、あと、更衣室には二人きり。

「はやく水着に…………!!!!」

「せ、んせ……っ僕、一人でできます……っ」

 僕は着せ替え人形じゃないです。
 ひとりでできます。

 恥ずかしくて俯いていると、先生の手が僕の頬を触ってくる。

「これは規則なんだ、破ったら…わかってるな?」 

 先生がちょっと息を荒くしながら艶笑する。
 破ったらどうなるかなんて、想像しただけで怖い。
 どんな恥ずかしいことをされるか……

「規則……? 本当ですか、先生」

「ああ、今決めたよ。今日から毎日俺が着替えさせる。分かったね? 」

 そんな……っ
 もしかしたら、加賀の影響もあったのかもしれない。
 どうしよう……

「先生は、僕を着替えさせたいですか? 」

 意を決して聞いてみると、先生は僕の頬にキスを落としてからにんまり微笑む。
 ……かっこいい。

「とっても着替えさせたいよ」

 なら、だったら。
 先生の、ためだったら。

「先生がしたい、なら。……恥ずかしい、け、ど……」

「いい子だな……」

 先生はそう言って、僕の制服のボタンに手をかけた。









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あきゅろす。
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