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月バスに載る虚実




「マネージャー志望の神崎舞です、よろしくお願いします!」

誤解は解け、リコ先輩に促され自己紹介をする。……正直マネージャーがちゃんとにできるかどうかはわからないけどね!バスケが好きな気持ちとやる気はたくさんあります!

「そうそう、思い出したのよ舞ちゃんのこと」
「え、会ったことありましたっけ」

そうじゃなくて、これよ。首を傾げたわたしの目の前にリコ先輩が雑誌をバッと出した。…どこから出したんだろう。じゃなくて、

「月バス?」

先輩方がみんな首を傾げてそれを覗き込む。……まさか、

「大分前のやつ。舞ちゃんが載ってるのよ。中学生でしかも女子なんて、載ることはほとんどないのにね」
「え、やだ!なんでそれ持ってるんですか!」

恥ずかしくてぴょんぴょん跳ねながら先輩の手からそれを取ろうとする。が、取れない。リコ先輩は決して背が高いわけじゃないけど……私の背が低すぎて。
そんな私を見て周りの人達が和んでいるなんて知らない。そして、雑誌はリコ先輩からメガネの先輩(名前はわからない)へと渡って。取れる可能性、低くなった!

「帝光って女バスも強いとは聞いてたが……全中優勝してたのか」
「しかも舞ちゃんが導いたって…」

メガネ先輩に続いて伊月先輩が言う。ほんともう、この雑誌は根も葉も無いことを…!!

「私が導いただなんて嘘ですよ!みんなで勝ったんだから!」

ぷりぷり怒りながらまだ雑誌を取ろうと跳びはねる私の頭をリコ先輩が撫でた。

「じゃあなんでウチに来たんだ?」

ほらよ、とメガネ先輩に雑誌を返されて(私のじゃないから返す、じゃないけど)口を尖らせる。

「怪我です」

この話をすると、周りは黙り込むから困る。





 

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