2 『ここ…は』 何処なのか、と訊こうとすると、 「おい、リボーンさんの知り合いだかなんだか知らねーけどな、10代目に心配かけんじゃねぇ」 険のある声で、銀色の髪の少年に途中で遮られてしまった。 髪が綺麗だな、と思い、ぼんやり見つめる。 「な、なんだよっ」 そうしているとその少年は少し言葉を濁した。 その時、足の辺りに小さな振動を感じた。 ベッドの上に何かが乗ったようだ。 「ちゃおっス」 赤ん坊だった。 スーツ姿が不思議で、首を傾げてしまう。 「お前が小由良心葉だな」 少し間を置いて、赤ん坊がボクに訊ねた。 ……小由良心葉…。 『分からない』 小由良心葉。何処かで聞いた気がするけれども、それが何を意味し、自分とどんな関係が在るのか分からない。 だから、今のボクにとって、それが赤ん坊の質問に対する答えだった。 「おいっ、女ぁ!リボーンさんが聞いてるのに、何わけわかんねーこと言ってんだ!?」 「獄寺君…っ」 だけど、銀色の髪の少年は、ボクの答えが気に食わなかったのか、急にテーブルを叩いて、立ち上がり、ボクの方へ向かおうとした。 それを10代目と呼ばれていた茶色い髪の少年が肩を抑えて、止める。 このやり取りで、銀色の髪の少年の名字が獄寺であることが分かった。 名前かもしれないが、おそらく名字だろう。 目の前の赤ん坊はリボーンというらしい。 そのリボーンさんは、口許に手を当てて、何かを考えている。 そして、ボクにまた質問をした。 「心葉、お前、もしかして何も分かんねーのか?」 部屋の温度が冷たくなったかのように、静まり返る。 10代目さんも獄寺さんも時間が止まったかのように、じっとしてボクを見つめた。 『……多分』 ボクは何もかも言われていることが分からないので、多分、としか答えれなかった。 [*前へ][次へ#] |