[携帯モード] [URL送信]

短編/外伝集
家族という絆


「…家族、かぁ」
「カロレス?」
夜も更け、屋敷が寝静まった頃。
リビングにはカロレスと翠が居た。
「…ん、いや…俺、あんまり昔の事覚えて無くって…さ」
「そう…」
つ、と窓に視線を移す。
外は暗く、あの雪うさぎ達は見えなかった。
「父さんと旅してたのは覚えてるんだけど…気が付いたら、いなくなってて…そこからは一人旅…だったと思う。凄く曖昧なんだ」
「………」
翠は何も言えなかった。
カロレスはあまり昔の事を話したがらない。
それは、あまり覚えていないのもあるだろうけど……。
自分が推し量る事の出来ないような、辛い事があったのかもしれない…。

「その後しばらくしてから、レイサーと、スキルと、翠と出逢って…此処で暮らすようになってさ…」
「まさか、『家族』だなんて思ってくれてるとは思わなかった」
「俺…心のどこかで、父さんの時のように…気が付いたら皆いなくなってるんじゃないかって……思ってたからさ」
自嘲するように、カロレスは笑った。
「……から…」
「え?」
「…私達は、絶対っ…カロレスを置いて…いなくなったり…しないからっ…」
涙が頬を流れ─零れ落ちた。

「ごめん、翠…」
泣かせるつもりは無かったんだけど、と翠の涙を指で拭う。
「……スキル達が気付かせてくれたよ。俺達は、家族だ」
「…うん、うん……!!」
宥めるように、ゆっくりと頭を撫でた。


…今までも、きっとこれからも、彼らは家族であり続けるだろう。

例え離れた場所に居ても……絆は─。


END.

[*前へ]

4/4ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!