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My Destiny(沖平)
Another way, another line
永遠なんて 
信じていた 蒼い季節










よく「終わりの見えない戦い」なんて言うけれど、ぼくらの場合は違った。

最新型の武器で挑んでくる新政府軍に、ぼくら旧幕府軍はなす術もなく。
「終わりの見えている戦い」は、その結末へ黙々と足を運んでいるだけに見えた。



―――もう、長くないんだろうな。
戦も
それから僕も。



懐に手を入れると、ひやりとしたものが指先に触れる。
取り出して暗い空に翳す。
明日には新月になるのだろうか、儚い月に、それでも紅い液体は妖しく光っていた。

帰りたい。今とは違う月が輝いていた頃。ぼくの身体も、この国も、あんなにも穏やかだったのに





「総司」

「っ!!…平助」





突然背後から声を掛けられ、みっともなく驚いて肩がびくつく。
可笑しいな、ぼくが人の気配に気付かなかったことなんて、一度もなかったのに。





「お前は、だめだからな」





大きな瞳が挑むようにぼくの手の中の小瓶を睨み付けている。





「お前まで、そいつに渡さない」

「そんなに憎いやつに、自分から身を捧げちゃったのは誰さ」





帰れない。ぼくを守るとか訳のわからないことを言って、自分からその液体に手を出した平助。
ぼくが発作から目を覚ましたのはすでに明るい病床で、ぼくの腕にうずくまって
泣きながら誓っていた。



僕の皮肉にきゅっと眉を寄せて、でも直ぐに寂しそうな顔をして、平助はぼくの隣に腰を下ろした。





「もし、さ」





無意識に平助の手を探しながら、彼の声に耳を傾ける。





「こんな時代じゃなくてさ。オレたちも、誰も、殺し合いなんかしてなくって」

「平助」





こういう話は好きじゃない。
自分があまりにもちっぽけだと、言い聞かせられているみたいだ。


手を握る力を強くして話を制すしても、自嘲するように口端をあげ、平助は続けた。





「オレたち、幸せだったかな?」





なにも答えない僕にじれたのか、涙声で縋るような声は止まない。




「せつないのは、いまだけだよな?」










心だけ 叫んでいるよ 
もう一度だけ 伝えたい
You know
that my heart's beating
for you










握りしめていた平助の手をそっと離す。

もう、永遠なんてどこにもないと、わかったんだ。
だから、いま。





「平助」

「…いやだっ!!」





僕の視線から何かを感じ取ったのか、身を硬くして平助が激しく頭を振る。

いつかは言わなくちゃいけないこと。
ぼくも、平助も、ずっと前から知っていたこと。





「平助。さよなら、しようか」

「嫌だっ!!違う、総司、違う。そんなこと聞きたかったんじゃなくて、違うっ、」

「ぼくらは、例え戦がなくたって、結ばれない」

「違う。そうじゃない!!」

「生まれ変わったって、同じ性を持つ限り、ぼくらの想いが結ばれることはない。―――でもね、」

「やだ、やだやだやだ、嫌だ、や、だっ」

「だったら尚更、きみと、後ろ指を指されても」

「ああああああ、ぅああっ!!ぃ、やだ!あああ」





縋っていた自分の気持ちが崩れたからなのか、現実を見て我慢していた想いのたがが外れてしまったからかは分からないけれど、半狂乱になって叫んでいる平助を、まるで泣きじゃくる子供をあやすように抱き締める。





「平和な街を、きみと手を取って歩きたかったな」

「そ、」





何かを告げようとした平助の声に被さって、爆音が鳴り響いた。





「…行かなくちゃ」





黙りこくって離れない平助の腕をそっと外し、唇を押しつける。


遠くから指揮官を求める隊士の声が聞こえると、平助もやっと顔を上げた。
低い位置から強い視線でぼくを見つめ、今度は平助がぼくに噛みつくような口づけをした。





「絶対、帰ってこい」





有無を言わせない口調で告げられた言葉に、いつものように曖昧な笑みを返す。

再度上がった爆発音に、平助は勢いよく踵を返して駆けて行く。



ああ、帰ってくるよ。
ぼくの居場所はきみのそばだけなんだから。





揺れる髪が視界から消えたのを確認して、ぼくは紅い液体を一息に嚥下した。











(Another day,) another night
今はふたりで それぞれの道を進む
Now living without your love
君の 揺れる睫毛を 
思い出しては 言い聞かせてる
現実だけが せつない 
my destiny





┼┼┼┼┼
「MyDestiny」:東方神起
1stアルバム「Heart,Mind and Soul」収録曲


総司の一人称変えてみました
ロスト直前の総司ということで←分かりにくい




余談ですが、この曲のPVはやばいですっ
一年目じゃなければ間違いなくウィークリーチャート1位でしょ?ってくらいの完成度。
残念ながら膝の怪我のため、ジェジュン(立ち位置でいうとセンターの子)がダンスシーンに参加できていないのですが、とにかく格好いい。
ユチョナのスーツはやばいわよ
ユノのバイクはやばいわよ
シアたんのあの髪色やばいわよ
チャンミナのあの衣装やばいわよ
ジェジュアのあの表情やばいわよっ
…是非ご覧くださひ(笑)

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あきゅろす。
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