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Summer Dream(雪→瑛)
君と出会うたびに 夏は新しくなる
僕らは今
光の中
生まれ変われるよ
Summer Dream
「うみーっ!!」
「瑛、わかったから落ち着いて」
少しべたつく風を受けながら、徐々に青の広がっていく道を歩く。
普段は僕なんかより遥かにおとなびているはずの瑛は、一週間前からこの調子。
友達と名乗れるようになる前、ただの予備校仲間時代に必死に装っていたキャラが完全に崩壊している。
まぁ、可愛いからいいんだけどね。
最近の僕らはサークルの集まりやゼミ合宿なんかが立て込んでいて、せっかくいい季節になったというのに、一ヶ月近く海を見ることすらなかった。
僕にとっては、まぁ珍しいくらいで片付くことだが、彼にとっては死活問題だったらしい。
それに加え、瑛には辛い出来事がもうひとつ。
これは「傷心旅行」なんだ。
忙しさになかなか会えずにいたらしい彼女が瑛の友人(もちろん男だ)の家に泊まったという情報が入ったのは合宿最終日。
欲求不満と女性不信で灰になっていた瑛を海へ誘ったとき、彼は嬉しさのあまり涙を流していた。
彼女と別れたという事実に内心ガッツポーズをしていた僕は罪悪感に苛まれたけれど、それ以上に瑛が小さい子のようにわんわん泣くものだから、僕は教室で瑛のファンの女の子たちの視線に殺されそうだった。
「ゆき、遅いっ。日が暮れるだろ」
「さっき南中したばかりじゃないか。梅雨明けも済んだ日本の夏がそう簡単に暮れてたまるかよ」
「ものの例えだっつの!」
「あぁ、分かったってば」
僕の着替えが済むころには瑛はすでに沖まで2往復くらいはしたらしい。
砂浜に敷いたレジャーシートに座り込む僕の隣に、濡れた肌が熱を保ったまま触れる。
あー、平常心。平常心。
「楽しそうだね」
「当たり前。どんだけ待ち続けたと思ってんだ」
ほら、と腕を引かれて水の中に入る。
瑛が穴場だと連れてきてくれた場所には、確かに僕らしかいない。
まともに照りつける太陽に皮膚がちりちりと焼けるような感覚がしたけれど、そんなこと気にならないくらい、彼の笑顔は眩しかった。
身体中ざわめいて
何か起きそうだから
欲しいもの追いかけて
信じる場所に行こう
「あー、くそっ!!ゆきのあほっ」
ひとしきり遊んだと思ったら、浅黒い肌を僕のほうへどつき倒しながら思いきり罵倒しやがった。
普段なら3倍返しするものの、瑛の瞳が濡れていた気がして、なだれかかったままの身体を引きずりながら本拠地(パラソル下レジャーシート)に戻る。
名前からして冬型に作られている僕にとって、真夏の海なんて完全アウェイなんだ。
既に赤くなりはじめている皮膚をさすりながら、瑛を座らせ、自分もその隣に腰を落とす。
気持ちがどうにかならないように、少し距離をとって。
「俺さ、」
顔を上げないまま、少しくぐもった声で瑛が話し出す。
「浮気…ってか二股?とかされるのって、された側にも問題があると思ってたんだ。余所見されないように努力すればいいじゃん、て」
「うん」
ほとんど無意識に瑛の頭を撫でていた。
顔を上げてへたくそに笑った彼の目からは隠しようもない涙が流れていて、胸をせつなくされる。
溢れそうな気持ちを抑えて黙り込むと、喉が焼けるように熱い。
大事だから、きみが好きだから。
この気持ちは伝えられない。
彼の肩に腕を回して、わざわざ空けた距離を自分から埋める。
叶うなら、もうすこし
きみの友達でいたい。
きみに拒まれるくらいなら
いつまでも、この場所で、時間が止まればいい。
青い空と海が きらめき重なるとき
oh baby
その涙も乾いてゆく 夏が笑ってる
いつの日か この想いが
君に届くといいな
楽しみなら ここにあるよ
ずっと永遠に
summer dream
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Summer Dream:東方神起
3rdアルバム「T」収録曲
これ、改めて聴いたら片思いの歌なんですね(笑)
久しぶりに、可愛い恋の話でも書こうかと思ったらくっついてない…
瑛のキャラが違いすぎて笑いました←
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