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Beautiful Life (野島兄弟)
君と永遠願おう
愛に理由はいらない
広い世界で
この幸せに敵うものはない
I love my beautiful ordinary life
with you










目覚ましのアラームでも、聞き慣れた兄の声でもなく、自然と目が覚めたのは久しぶりだ。

電気をつけなくてもいいほど明るい部屋から推測するだけでも、かなりの時間眠っていたようで、もちろん隣にいたはずの彼の温もりはすっかり消えていたけれども。



その温もりを求めてふらつく足取りのままにリビングへ向かうと、コーヒーの香りが仄かに漂ってきた。





「おはよー、健児」

「…ぁよ」

「起き…てる?」





いまだ覚醒しない頭を無理やり縦に振ると、苦笑した兄に髪をくしゃくしゃとかき回される。





「パン焼いてあげるから座ってな」

「ん」





転ばないように誘導されたソファに大人しく収まって、キッチンに消えた兄をぼんやり眺める。



オレは今日は予定を入れてなかったはずだけど。

共有のカレンダーに印がついていないのを確認して声を掛ける。





「ひろ、予定の今日は?」





あいたた、脳みそに比べて体の覚醒は遅かったらしい。


わけのわからない文法にまたくすくす笑い声をたてて、トースターにスイッチを入れた彼がマグカップ片手にオレのそばまで戻り、すぐ隣に腰を下ろした。





「なんも入れてないよ。健児は?」

「いれてなかった、はず」





受け取ったマグカップのなかのカフェオレを啜りながら、体が目覚めて行くのを感じる。





「どっか、行く?」

「…いい。ヒロと、いる」

「ど、したの健児」





普段は余り言わないからか、少し素直になるとあからさまにヒロは照れる。
オレもそれが見たくて普段は甘えないんだけど、それは内緒。



でも本当はいつも思ってる。
特別な場所じゃなくたって、ヒロがいるところが、ヒロのそばが好きなんだ。










Don't wanna live my life any other way 時を重ねるほど深くなる
揺るぎのない二人の人生










「健児、寝ぼけてるだろ」





照れているだけなのは分かってるけれど、目を逸らしてそんなこと言われるのは気分が悪い。
せっかくオレが素直になってるっていうのに!!



そっちがその気なら、と寝ぼけたふりをしてヒロの腰に腕を回す。





「けけけ健児っ!?」





慌ててる慌ててる。
笑いをこらえながら上目使いでトドメを刺してやる。

声はなるたけ甘ったるく。
オレだって伊達に何年も役者してる訳じゃないんだ。





「ヒロ、好きだよ。ヒロの全部が好き」





瞬間、面白いくらいにヒロの顔が赤くなった。
照れてるんだなぁ、なんて思う間に強く抱きしめ返され、耳元に唇が当たる。
くすぐったくて身じろぐと、腕の力をいっそう込めてそれを阻止したヒロが、小さく、俺も、と呟いた。





「寝ぼけてても?」

「おう」

「怒った顔も?」

「当たり前」

「かっこつけてないオレでも?」

「お前普段かっこつけてたのか?」

「だって、ヒロ、面食いなんだもん。オレ頑張ってる」





頭をぐりぐりとヒロの肩に押し付けながら言うと、馬鹿だなと笑われた。





「どんな姿も、お前が誰より美しいんだよ」





…へぇ、オレが寝ぼけてるときはそういうこというんだ。





「ひろぉ」





今度は自ら耳元に唇を寄せた。
すっかり自分に酔ってる兄を現実に戻してやる。





「それはさすがにサムいでしょ」

「け、んじ…?」

「最初っから起きてたよ、オレ」





フリーズしている兄を放置して、チン、と小気味のよい音をたてたトースターの方へ向かう。


悔しいから、嘘はついていないってことは
言わないでおこう。



にやける頬を誤魔化すように、焼きたての食パンにかぶりついた。










僕は一体どうしたんだろう
君に逢った時からは
独りで生きてる気がしない
君なしじゃ生きられない
Oh baby…





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「Beautiful Life」:東方神起
3rdアルバム「T」収録曲



何もないのがいちばん難しいことを痛感しましたorz

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