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tvxq
Forever Love(慶半)
何度も 何度も
贈るよ 君が探しているもの
迷いの全てを溶かして
生きてゆこう
Forever Love










空気がオレンジ色に染まる時間、坂道を歩く右手に絡まる未だ慣れない温もり。

気持ちを伝えてから、
想いを分け合うようになってから日は浅い。



今までずっと見ていたのとは別の意味を持つオレの視線に気づいたのか、半兵衛がはにかんだように微笑んだ。
珍しく素直な顔をされると、逆にオレが照れる。

少し目を逸らして、胸の深くに宿った熱を誤魔化すように手のひらに力を込める。
じんわり伝わる体温は、優しくて柔らかくて。
ちくりとこころに刺さった何かを溶かしてくれた。




紛れもなく、愛という感情。
一般的にアブノーマルなことなんて自分がいちばん分かっていた。

諦めようと思ったことも、たくさんあった。
自分の気持ちに嘘をついて、勝手に納得したふりをして。




半兵衛の夕陽いろに染まった横顔を眺めながら、少し前の自分に思いを馳せた。





愛を知らないと、彼は言った。

特殊な状況で生まれ、生きてきた半兵衛は人を信じることを極端に恐れていた。(今でも、それは完全に拭いきれていないと思う)

大切なひとを失った回数も、ふつうよりずっと多い半兵衛は、オレの告白を聞いて




「僕は、愛を知らないんだよ」




濃紫の瞳を飾る睫毛が、細かく震えている。




「だれも、教えてくれなかった」




やがて双眸から溢れ出した涙にこころがざわつく。


その涙は、お前にとって、どういう意味なんだ?




「誰かをなくすのは、もう嫌なんだ」




だから




「ずっと傍にいてくれるかい?慶次くん」










You're the only love,forever...










よく笑うようになった半兵衛は、口数も各段に増えた。




「慶次くん」

「うん?」




いつもは銀色の光を湛える髪は、太陽の輝きを受けて金色になっていた。




「わかったかも知れないんだ。きみのお陰で」




声が喉に張りついて、うまく言葉が出てこない。
それくらい、今の半兵衛はきれいだった。



「なに、が?」




やっとの思いで出てきた言葉は、オレの素直な疑問。

あまりに飾り気のない言葉がおかしかったのか、また半兵衛が笑みを深くした。




「僕が探していたもの」

「それ…」



固まったオレを尻目に、行こうか、なんて呟いて、半兵衛はさっさと歩き出した。



彼が知らなかったもの
探していたもの


オレが、半兵衛を想うこころ




急いで半兵衛の隣に歩を戻し、白い手を握る。


もう、言葉は、いらなかった。










何度も 何度も 叶えよう
君が望むことすべて
この世でひとつの 確かな 輝きを
Believe in Love




┼┼┼┼┼
「Forever Love」:東方神起
3rdアルバム「T」収録曲

原曲はせつなくてあったかい曲です。
たまには静かな慶半をやりたかった(いつもじゃね?)

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あきゅろす。
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