星空の瞬き
星の嘲笑い
「何でいつも月子ばっかりなの!?星羅だってお姫様役やりたいよ!!」
…そう、これは私達4人が小さかった時の記憶。いつもの様に近くの公園で4人でお姫様ごっこをやっていたときだ。
この時私は初めて錫也くんと哉太くんに月子ばかりズルいと訴えた。
「じゃあ、今日は星羅ちゃんがお姫様役で良いよ。」
月子はお姫様役をすんなりと譲ってくれて、錫也くんと哉太くんは月子がそれで良いならと納得した。
でも、その日のごっこ遊びは2人とも全然やる気がなくて。私も言い表すことが出来ない感情で何故だかモヤモヤしていた。
そう、今ならわかる。この感情の名前は…
罪悪感。
☆★☆★☆★
「…きろ。…起きろ。」
目をうっすらと開けると電気の光と琥太郎先生の顔が見える。
「もうチャイム鳴ったぞ。昼休みだ。」
「…う…昼休み…」
「東月達と昼ご飯を食べるんじゃ無いのか?」
あぁ、そうだ。面倒くさいななんて思いながらベッドから這い出る。
すると保健室のドアが開く音がした。
「失礼します。夜久さんはいらっしゃいますか。」
「うん。いるよ、颯斗。わざわざありがとう。」
颯斗に返事をしてカーテンから出る。入り口に向かって琥太郎先生の方を振り返りありがとうございましたとお礼を言うと先生が近づいてきてぽんっと頭に手を乗せた。
「余り無理をするなよ。…俺はいつでも此処で話を聞いてやる。だからいつでも来い。」
まぁ、直獅の様に此処を溜まり場にされても困るがなと笑いながら付け足す。
それに私はにこっと笑って颯斗と外に出た。
☆★☆★☆★
遂に来てしまった…この時間が。
「星羅ちゃん、今日は私のワガママに付き合って貰っちゃってごめんね?」
ごめんねって言うくらいだったら誘わないで欲しい…なんて言えないからははっと笑って全然大丈夫だよー…なーんて思っても無いことを口から吐き出す。
「こっちこそ、せっかくの3人の時間に入っちゃってごめんね」
「迷惑なんてそんなことないよ。月子だって哉太だって、もちろん俺もこうして大勢で食べれて嬉しい。」
「そうだよ。錫也の言う通りだよ。私たち双子であって幼馴染なんだよ?迷惑なわけ無いじゃない。」
…そう?ありがとう。なんて言ってみる。颯斗の方をチラッと見ると、颯斗は複雑そうな顔をしていた。…そんな顔しないで。私は無理してないよ。私は大丈夫。まだ行ける。
「お腹空いたー!早くメシにしようぜ!」
哉太が錫也の作ったお弁当ぬ蓋を開けると、そこには月子の好物が沢山入っていた。
「今日は星羅と青空君が一緒だから少しいつもより頑張ってみたんだ。」
「おっ!気合入ってんなー!つーわけで食べよう!」
いただきますと皆で言って食べ始める。
暫くすると錫也くんが私のお皿に取ったおかずを見て言う。
「こら星羅。全然食べてないじゃないか。もっと取りなさい!」
そう言って錫也は星羅のお皿に色々なおかずを取って入れる。
「…っ」
「待って下さい東月君。今入れたおかず達は星羅が嫌いなものばかりです。」
「え、そうなのか星羅?」
錫也が少し驚いた顔で星羅に尋ねる。それにコクンと頷くとごめんなと謝ってくる。
「私、月子の好物で嫌いな物が多いの。」
ほら、錫也くんは私の事を何も知らないでしょう?颯斗の方が良く知っている。どうしてだろうね。分からないよね。
錫也くんは月子を通して私を見てるだなんて。
(星の嘲笑い)
(それは強くあるための手段)
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