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星空の瞬き
星の王子さま
次の日は時間が進むのが早い気がした。


「はぁぁぁ…」
「うわ、溜息でかっ」


私が大きな溜息をすると、すかさず隆文が突っ込む。…呑気で良いこと。
だってもう3時間目が終わってしまった。あと1時間授業を受ければ昼休みが来てしまう。


「え…オレ無視!?」


隆文が隣で何か言っているが、今はそれどころではない。あ、胃が痛い。絶対にストレスだ。サラリーマンか私。…保健室に行ってこようかな。


「ねぇ、マジで無視!?」
「犬飼くん、少し黙って下さい。…星羅、顔色が少し悪い様ですよ。保健室に行って来たらいかがですか?」


私は颯斗の気遣いに感謝の言葉を述べて席から立ち上がり、保健室へと向かった。

☆★☆★☆★
保健室に入ると誰も居なかった。…ように見せかけただけで、ちゃんと居た。ベッドの上で横になって。


星羅はつかつかとベッドを囲う様に閉まっているカーテンに近づき勢いよく開ける。うん。居た。ベッドに居る彼…保険医はスヤスヤと気持ち良さそうに寝ていた。
星羅は保険医、星月琥太郎の枕元へ近づき彼の鼻を摘まんだ。


「…ん…?」
「先生、起きて。」


琥太郎先生は私の手を退けて大きな欠伸をしながらゆっくりと起き上がった。


「あぁ、夜久か。おはよう。どうしたんだ?」


言いながら先生は壁に掛かった時計を見て、授業中じゃないか。何かあったのか。と問いかける。


私が胃が痛いと伝えると先生はサラリーマンかと突っ込みながら薬品棚から薬を取り出し、コップに水を注いで私に渡してくれた。


私が飲み終わるのを見て、ソファに座るよう促し、私は言葉通りに座る。


「何があったんだ。」


琥太郎先生はもう一度問う。


「…どうして私達は双子なのに此処まで違うのでしょうか。私が望むものを皆あの子は持って居て。錫也くんも哉太くんも両親までもがあの子の味方をする。私には見向きもしないで。」


あぁ、この世はなんて不平等なんだろう。神様はなんて酷いのだろう。


「今日の昼休みに月子達にお昼ご飯にさそわれているんです。“月子が”一緒に食べたいらしくて。…可愛い私の片割れの頼みですものね。あはは。そう。可愛い私の…」
「落ち着け、夜久。」
「ねぇ、私って何の為に産まれてきたのでしょうか。何で私は生きているの?どうして」
「星羅!!」


名字ではなく名前で呼ばれて頭に血が上って熱くなっていたのが一瞬にして冷める。


「昼休みまでもう少し時間がある。少しやすみなさい。」


分かりました。そう言って先生が使っていた隣のベッドに行き、横になる。横になる前に先生の顔を見ると悲しそうな目をしていた。


…あぁ、彼は私の為に悲しんでくれている。


心に温かいものを感じながら目を閉じる。


目を閉じてからも暫く琥太郎先生の表情が瞼の裏から消えなかった。


(星の王子さま)
(彼はとても悲しそうだった。)





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