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蛇足

「お前は熟女と男、どっちがいいんだよ?!」







「…………へ?」



楓は自分の耳を疑った。

そうでなければ、きっと自分の聞き間違いだ。

そう思った。

というより、そう思わずにはいれなかった。

それ程よしおの言葉は突飛で楓には理解できなかった。

そして、当のよしおも先程までの勢いはなくなり、ただ自分の吐いた言葉にポカンとした表情を浮かべている。


えぇと……

俺の聞き間違いでなければ、よしお君は

【熟女or男】

さぁ、どっち!的な事を言ってきたような………

いやぁ、俺どんな聞き間違いやらかしちゃってんだよー

つーか聞き間違いだよね?!

そうだと言ってくれ!
よしお君!


楓がどうしたものかとよしおを見上げると、よしおは何やら難しい顔で楓の事を見ていた。

「えぇと……よしおく「どっちなんだよ


は?」

「……熟女と男だったらテメーはどっちを選ぶ」


聞き間違いじゃなかったぁぁぁ!!
いや、もうむしろ聞き間違いであってほしかった……


楓がよしおの言葉に動けずにいると、よしおは尚も楓の目を見つめ、詰め寄ってきた。

「なぁ、どうなんだ。答えろ」


答えろって……

無理だろ?!

何だよその意味のわからん二者択一は?!

俺は熟女趣味でもなけりゃ、そっちのケもない!


そう言えればどんなに楽だっただろうか。

しかし楓は言う事ができなかった。

何故なら、『どっちなんだ』そう問いかけてくるよしおの目が余りにも真剣そのものだったから。


なんかよくわかんないが、よしお君がそこまで真剣に聞いてくるんだし俺も真剣に答えなくちゃな……

……質問の意義は全く掴めないけど



「えぇと……どっちかっていうとじゅK「あ゛ぁ?!」

男です!」

「……そうか」


そうか……じゃないよ…
よしお君。

つーか、最早これは二者択一じゃない。
一者択一。
オンリーワン。

俺に選択の余地なんか残されてないじゃないか。

意味わかんないよ


楓はそう思い恨めしげによしおを見上げるが、よしおは既に楓など見ておらず何やらブツブツと呟きながらあらぬ方向を見ていた。


一体何なんだよ…
よしお君


楓がやり場のない思いを抱えていると、今までブツブツ言っていたよしおが急に楓の方へと向き直った。

「俺も……熟女より男だ」

「は……はぁ」

「帰んぞ」

「………わかった」


わからない。

意味がわからない。

けどもうつっこむのはよそう。

そうだ。
それが一番だ。

うん、……今日は疲れた

帰ったら……寝よう


楓は考えの見えぬ友人の背中を遠い目で見つめると、全ての考えを放棄し家路を急いだのであった。

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あきゅろす。
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