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蛇足
俺んとこ来いよ
どう-せい【同棲】
@一つ家にいっしょに住むこと

A特に、法律上の婚姻関係にない男女が同じ家に住んで生活を営むこと



by広辞苑


……確かに俺と彦星は@には当てはまる。

しかし世間で一般的に用いられているのは明らかにAの方の意味だろう!!

それに『同棲』って言葉……何だかちょっとしたヤラシイじゃないか?!

そんな言葉を俺と彦星に当てはめないで欲しい。

アハンでイヤンな事でもヤっちゃってる印象つくだろうが!

……そしてそんな事を考える俺は決してムッツリなんかじゃない。



「同棲なんかしてない」

楓がフリーズした思考から抜け出しやっとの事で返事をすると、よしおな不信に満ちた顔で楓を見下ろしていた。

だから、そんなそんな顔で俺を見ないでくれ……。

「でもテメー今家でも一緒って言ってたじゃねぇか」

「いや、だからそれは俺が彦星のお婆さんがやってる下宿所で下宿してるからであって……」

「やっぱ同棲してんじゃねぇか」

「だからその同棲って言い方やめて……ほんと」

楓がガクリと肩を落とすと、よしおは不機嫌そうに呟いた。

「ちっ、だからお前らはあんなに仲がいいわけか」

「………そうかな」

確かに彦星と一緒に居る時間は普通の友人同士が共に過ごす時間とは比べものにならないくらい多い。


そういえば本当にずっと一緒だもんなぁ。

そのお陰でこっちは毎日全然落ち着いてられないんだけどな。


楓は入学してから彦星と過ごしてきた日々を思い出し軽く息をついた。


しかし

しかしそのお陰で自分は今もこうしてTSUTAYA学園へ通っていられる。

彦星の騒がしさが辛い現実をなかなかに愉快なものに変えてくれているのもまた事実だ。

何だかんだ言って俺は彦星と“大親友”やってんだよな。


「仲がいい…のかもな」

楓がフッと笑顔になったのを見て、よしおは更に不機嫌な表情を浮かべる。


「(ムカつく)」

よしおはギリと拳を握りしめると自分の中に生まれた怒りをどこに向けたらいいか考えていた。

しかしそれは簡単な事で。

自分に向けないのなら、今ここに居るのは楓だけなわけで。

すると自然と怒りのはけ口も楓になるわけで。

「そんなに仲いーんならやっぱ堀田んとこ紹介してもらえばいいだろうが!大親友なんだろ?だいたいテメーはごちゃごちゃ文句言って結局バイトなんかする気ねーんだろーが?!ウジウジキモいんだよ!」

そして吐き出された言葉に、自分自身が驚き、そして後悔するわけで。

よしおは楓の顔を見る事ができないわけで。

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