[携帯モード] [URL送信]

ハピネス
-11-
「んで、いつまでいるわけ?」
父親が買ってきた牛乳やカップラーメンなどの食料をかたしている。
「今週いっぱいの予定ではいるんだけどね」
父親はお湯を入れたカップラーメンを頬杖しながら待っている。
かたし終わり、カップラーメンをすすっている父親を見る。まったくカップラーメンと人物とがマッチしていない。
自分を見ている洋平に気づき何かと聞く。
「いや。親父なんかの人でもカップラーメン食べんだなって」
感心しながら言った。
「そんなに変かな?海外に行く時は必需品なんだけどね」
「これが?」
「そう」
と言われてもピンとこない。
ちゃんとした店で食べている印象しかわかない。
「そう言えば薫さんも週末に帰ってくるって言ってたな。となると家族水入らずじゃないか。嬉しいねえ」
と、ニコニコする。
ちなみに薫さんとは洋平の母親である。
「おふくろとは会わなかったの?」
「仕事が今回は一緒じゃなかったからね。薫さんはパリにいるみたいだね」
たぶんファックスを充たすのだろう。お互いのスケジュールなんて知らないのだから。
水戸康平。―――― 洋平の父親。職業は空間デザイナー兼プロデューサである。一応名の知られてる人である。東京・青山に事務所を持っている。
なわけな人であるからして、いわゆる父親と呼ばれてるものとは多少異なっている。まあ、簡単に言えば感覚がズレている。
世間で不良と呼ばれている息子を持っていても動じないのである。
動じないというのは少し語弊があるが人様に迷惑さえかけなければ多少愚れていようが構わない。
これは自分と自分の息子に自信がないと駄目だろう。

[*前へ][次へ#]

11/15ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!