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非日常が日常です(完結)
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「やったー!来たぜ京都!」

現在修也が通う高校は修学旅行のため京都に来ている。
普段見せない高いテンションの修也を前にして、平田たちは若干の驚きを隠せない。

「つーかまた京都かよ。中学と一緒じゃねぇか」
「でも京都楽しくないか?来ただけで嬉しくなるっていうか」
「俺も俺も!楽しいよね!修ちゃん」
「な!どうしよう何しよう」
「何って行動計画立ててんだからそれ通り回るだけだろ」

周りのストッパー役に徹することの多い修也が、京都の所為で完全にのぼせている。
それもちょっと可愛らしいと思うようになってしまった平田だったが、それには自分自身ではまだ気づいていない。
ちなみに、最初から修也ラブの大崎は今朝の新幹線から修也が可愛すぎると悶えていたりする。

「おいそこ、遅れるんじゃないぞ」

「「はーい」」

三人を注意したのは担任の野原、ではなく司書の大熊だ。

担任以外も何人か付き添いとして来ており、大熊もその一人だった。

「あいつ来てんのか」

例の一件で大熊が修也を好きになってしまったため、ここにいられるのはおもしろくない。
修也はノーマルであるし、大熊が迫ったとしてもどうこうなるとは思っていないが、万が一ということもあり得る。

こちらは修也を自由に出来る鍵を握っているとしても、現実で上手くいかれるのは見ていて相当悔しいに違いない。

「ま、担任じゃねーし傍にいる機会なんてあんまないだろ」
「つーか担任のがやばくね?」
「確かに」

二人が心配するのも致し方なし、担任は大熊より何倍も危険な野原である。

変態を地でいき生徒に邪な期待を抱いている教師など、もはや教師どころか犯罪者一歩手前と言って間違いない。

何か嫌な予感がするとがばっと勢いよく野原がいる方を向けば、にやにやと(見えるだけ)する姿が飛び込んできた。

「おい、あいつ今変なこと考えてんじゃねーの」
「しゅ、修ちゃん危ないじゃん」
「修也んとこ行かねぇように見張っとかねーとな」

普段の生活と違って修学旅行はある意味二十四時間一緒と言ってもいいくらいだ。
二人は野原が近くにいる時はさりげなく視界にいれておこうと誓い合った。

そんな失礼なことを思われていると知らない野原は、呑気に生徒を監視しつつ京都を満喫している。

――あーここの学校修学旅行毎回京都だけどやっぱ楽しいなぁ。しかも今年は木下と一緒……!まさかの告白とかないよな?さすがにそれは、な。でもまんがいちってことも。

やっぱり頭はちょっとおかしいようだ。





「よーし、班別行動になるがトラブル起こさないように!解散!」

野原の合図で「わああー」とあちこちから喜びの声が上がり、散り散りに生徒たちが散らばる。
予定通り寺巡りをする生徒にお土産選びに勤しむ生徒、買い食いに走る生徒など様々だ。

班別と言っても組みたい生徒で組んだあと人数調整をして男女混ぜただけなので、いつもの三人組は希望通り同じ班になれた。

女子もいるので滅多な行動はとれないが、これはこれで楽しそうだ。

「皆何処行く?」
「とりあえずお寺行ったら近くのお土産屋さん行きたい〜」
「抹茶カフェあるよ?」

大崎はともかく平田は結構な女好きなので、きゃっきゃした女子の声に大変和んでいる。
修也の方も嫌な顔をせず女子の出方を待っていた。

「決めた?」
「修也君、お土産屋さん見てもいい?」
「最初に行くお寺の横が大きいお土産屋だったと思うからそこ行こっか」
「行こー行こー」



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あきゅろす。
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