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短編集
+2人のあいだ
2人の距離が0から伸びる。
すると、2人の間に沈黙が流れる。

先に口を開いたのは、少年―グミヤだった。

「ごめん、グミ。俺、初めてでさ…」

そう言いながら、照れくさそうに笑う。
一方、グミと呼ばれた少女は、状況が飲み込めないのか、呆けた顔をしている。

「あれ…今、キス…?」
「…あれ?もしかして…、グミも初めて?」

やっと状況を掴み始めたグミが、やっとの思いで言葉を紡ぐ。

「そっ、そうだけど…」
「…嘘。ごめん…」

グミヤは、グミに頭を下げる。
しかし、グミはあたふたしたまま、声を出さない。

「で、でも、」
「…でも?」
「私…」

グミが、やっとの思いで口を開く。

「大好きな、グミヤとキスできて……嬉しかった………」

今にも消え入りそうな声で、グミはそう言い、下を向いた。
グミヤは、グミの頭を撫でながら、グミにしか聞こえない様な位、小さな声で囁いた。

「グミ、大好きだよ」

2人の距離が、また0まで縮まった。



end.

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あきゅろす。
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