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機械娘は気持ちを探す
#8
 痛い……撃たれた? 誰がどこから? 目標? そんな訳ねぇ。ならどっから? 目標じゃねぇ? 目標ッ?
 そんな思考が交錯する赤髪の少女の右肩を300 Win Magは貫いていた。
トリガーを引く腕、つまり利き腕だ。だが、血は、出ていない。
 300 Win Magでは遠距離から機人に対して有効は損傷を与えることはできないのだ。
 弾倉を放り、駆け寄り、上半身を抱き上げる青年。
「おい! しっかりしろ!」
「あ、ぁ、だ……に」
 精一杯声を絞り出しても、聞き取れる声はでない。赤髪は自分の息が荒いことを認識ていない。
「呼吸を整えろ。深呼吸だ」
「ッハァ、ッハァ、ッハァ、ッハァ」
 過呼吸だ。息の吸いすぎ。普通は袋などを口に当てて吸える空気の量を制限するのだが……。
「おい……不可抗力だからな」
 過呼吸を続ける赤髪に青年は、少女の口を自分の口で塞いだ。
 柔らかく、確かに体温を感じる。
 舌で舌を押しのけて、気道を確保してから、呼吸をする。
 赤髪の甘いような熱された吐息が青年の肺を経由して、往復する。
 赤髪の呼吸が徐々に落ち着いていく。
 お互い苦しくなってきたところで、口を離す。
「……ふ、ファーストキスがこれか、よ」
「悪いな。本当はもうちょい上手くやれればよかったんだが」
「ばかやろ……そんなこと言ってる場合かよ」
 確かに、そんな場合ではない。だが、青年はタハハと笑った。赤髪も、つられて笑った。
 その瞬間、赤髪の視界が赤くなった。

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