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小説
「僕だって、嫉妬ぐらいするさ。」庵53


 「シンジ君はさ、分かってるかい?」

 「な、何を……」




何故、僕は、カヲル君の家の壁際まで追い詰められてるのだろう…。


 「君は、僕と付き合っているんだよね?」

 「そ、だよ……」


 「じゃあ、何で。女の子からコンナの貰ってるのかな?」


と、

右手に出したのは、一枚の封筒。
ピンク色の手紙だった。

人指し指と中指で挟まれた間から、
碇シンジ君へと書かれていた。

 「な、何で…」

貰って………鞄にいれておいたのに!?

 「昨日、家に来たとき。鞄が開いてたから閉めようと思ったら、出てきたんだよ。」

昨日、カヲル君の家にいき、

そのまま、寝てしまった。
その時か…


 「読んだかい?シンジ君。」

 「…………ょんだ…。」


綺麗な字で、僕への愛を綴られていた。


 「へ〜シンジ君は、残しとくわけだ。」


こーゆーの、っと右手の手紙を揺らす。


 「捨てられないじゃないか!!せっかく、書いてくれもんだし……」

 「シンジ君は、誰のもの?」

 「もの………って。」












 「僕の物だよね?」


コクりと頷くが、カヲル君は機嫌をなおさない。
そうとう怒ってるらしい。


 「僕だって、嫉妬ぐらいするさ。いくら人間じゃなくてもね。」

 「へ……」


 「シンジ君の想いが離れちゃうんじゃないかなって、思うときだってあるんだよ。」

 「カヲル君………」


いつもの余裕の微笑はない。

 「大丈夫だよ、ちゃんとその子には、付き合えません。って言うから。」

 「でも、せっかく、こんな僕のために書いてくれた物を捨てるなんて。僕には、出来ないよ。」




 「…………シンジ君は優しいね。」

 「……カヲル君は、嫉妬深いね。」



そして、よかった。っとカヲル君は呟いた。


 「うん、大丈夫だよ、」

 「違うよ、」



カヲル君は、笑う。


 「僕だけ愛してくれてるって分かったから。僕、嬉しいよ。」



 「う、うん。」

 「シンジ君は、浮気なんてしないね、」

 「しないさ、」


 「“これで”、僕の愛も分かってくれたしね。」

と、手紙をふる。



 「うん?」

そして、カヲル君がニッコリ笑った。















 「この手紙、僕が書いたんだ。素敵でしょ?」

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あきゅろす。
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