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「野波さん、汗をかいたろう。春といってもまだ寒い、冷えたら大変だ。こちらへ来て着替えよう」
「でも、着替え持ってきてないよ」
「心配ない。着替えなら俺が用意してきた」

バサッと鳴海くんが着物を広げてみせた。

「ちなみに鳴海さんは毎回これ持参してますから」
「流石は茶道部部長だ!」
「ただの願望の表れでしょ」
「うむ。野波さん、体が冷えないうちに早く着替えよう。着付けは俺に任せておくれ」
「じゃあ、鳴海くんお願いね」
「ああ」

鳴海くんの前まで行ってシャツのボタンを外そうとすると、鳴海くんの手がそれを制した。

「俺がする。駄目だろうか」

鳴海くんの気持ち凄く分かる。
好きな人には色々してあげたくなるもの。僕も彼氏に色々してあげたい。

「いいよ。鳴海くんにお願いするね」
「うむ」

鳴海くんの指が丁寧にシャツのボタンを外していく。
ボタンを全部外すとシャツが肩から落ちた。

「少し寒いかもしれないが、辛抱しておくれ」
「平気、寒くないよ」
「うむ。それは良かった」

鳴海くんの指がスラックスのホックを外し、やたらと緩慢な動作でチャックを下ろしていく。
なんだか恥ずかしくて、鳴海くんの手に僕の手を添えた。
するとピシッと動きを止めてしまった鳴海くん。
鳴海くんの顔を見上げると、不安そうに僕を伺う鳴海くんと目が合った。
止められたと思ったのかもしれない。

「…は、早く脱がせてよ。…恥ずかしいよ」

言った瞬間、すとん…とスラックスが畳の上に落ちた。

「あっ!鳴海くんっ…駄目!おちんちんダメーー!ぁっ…」
「ああ…可愛い。野波さん可愛い」

鳴海くんにいきなり性器を揉まれた。
僕のさっきまでの対応で、鳴海くんが喜ぶ事やエッチな気分になっちゃうかもしれない事は分かってた。
でも、ここでは絶対致せない事も僕は知ってる。
だからぎりぎりのラインで、3人が喜ぶ事をしてあげられるのだ。

「ぐっ!」

夏目くんの竹刀が鳴海くんの肩を鋭く突く。

「野波ちゃんが駄目って言ってるでしょ鳴海さん」
「うおおぉぉぉぉ!!鳴海!貴様許さんぞおぉぉ!おちんちんダメは可愛すぎだああぁぁぁ!!」
「大鹿さんも落ち着いて。平常心でしょ?日々の鍛練は?」
「んんん…すまん。あまりのやらしさに平常心を失っていた!鳴海!平常心だ!」
「ああ、その通りだ。俺とした事が誘惑に負けてしまった…ぐっ、情けない」
「もう頼みますよ鳴海さん。野波ちゃん風邪引いたら大変だから、さっさと着せちゃってください」
「うむ。分かっている」

鳴海くんは、返事の通り素早く着物を着付けてくれた。
時折抱き締められたり、僕の股間に鼻を擦り付けたりしてたけど、着付けは完璧だ。

「へー、なかなか良いもんですね着流し」
「うおおぉぉぉ!可愛い!最高だ!」
「そうだろう。野波さんには着物が
一番似合う。さて、一服しようか」

茶道具を畳の上にセットしだした鳴海くんが、僕に穏やかな微笑みのを向けている。
いつものようにお茶を振る舞ってくれるらしい。

「野波さん、座って」
「うん」

座ると、鳴海くんは綺麗な包みに入った和菓子を差し出してくれる。

「楽にして」
「うん」

包みを開けてみると、睡蓮の花を模した和菓子で、美味しそうというより芸術的だ。
じろじろと散々眺めてから、漸くそれを口に含んだ。
もしゃもしゃと咀嚼している間にも、鳴海くんは美しい所作で静かにお茶を点てている。
やがてしゃかしゃかも終わり、僕の前にお茶碗がおかれた。

「頂くね」

決められた所作に習ってそれを頂く。

「美味しい」
「良かった」
「お菓子は睡蓮だったね。美味しかった」
「うむ。奴等も腕を上げてきただろう」
「和菓子同好会だっけ」
「うむ」
「確か会長は和菓子の老舗の八御伊堂の子だったよね」
「うむ。なかなか見込みがある」


僕と鳴海くんは、和菓子の事、お茶碗の事、はてはパンツの趣味について語り合った。
鳴海くんいわく、僕は白レースTバックが似合うらしい。彼氏に会う時はそれをはいていこうかな。
ちなみに、大鹿くんは花柄ブリーフ押し。夏目くんはチャック付きブーメラン押しらしい。
そんなの売ってるのかな。



「さて、一息つき終わった事ですし、次は俺の番ですね」

立ち上がった夏目くんが言った。





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あきゅろす。
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