6 「じゃ、野波ちゃんこっち来て。俺にも堪能させてくださいよ」 「痛くしないでね夏目くん」 「ああ、今日は剣道じゃないからご安心を」 「そうなの?」 「そうなの」 夏目くんの所まで歩いていくと、腕を引かれて抱き締められた。 「…っ!」 「ちょっと抱き締めるだけですよ」 夏目くんは僕のお尻を揉みながらそう言った。 既に抱き締めるだけじゃないような… 「ぅのれ夏目ーー!野波さんを放せ馬鹿者がーー!」 「自分だってさっき抱いたでしょ」 「んん…、面目ない!」 「ここはおとなしく見守ろう柔道部主将。俺達に止める権利はない」 「うおおぉぉぉ!仕方ない!」 大鹿くんや鳴海くんは置いといて、夏目くんがここでこんな風にするのは珍しい。 初めてかもしれない。 「意外だね。夏目くんがこんな事するなんて」 「隊長には秘密ですよ」 「僕は言わないけど、2人は分からないよ」 「…あー…俺死ぬかも。だから、ね?もう少しだけ…」 夏目くんの足が着流しの裾を割って、僕の足の間に入り込んだ。 丁度夏目くんの太ももが僕の股間に触れる。 「夏目くん、ダメだよ」 「少しだけ、着流しの野波ちゃんと遊びたい」 「…でも、そんな事されたら…たっちゃう」 「はは、すげー魅力的なお言葉。でも、俺も流石に命は惜しいんで、この辺で止めておきますよ」 夏目くんはため息を吐くと、僕をすんなり解放した。 それから僕達3人を近くに座るよう促した。 「久々に野波ちゃんを堪能できた事だし、相談とやらを聞きましょうか」 「うん。相談って言うのは田中勇馬の事なんだ。知ってるよね?田中勇馬」 「当然だ!」 「うむ。俺も知ってる」 「渦中の人ですしね。それで?」 「僕は生徒会の皆様が田中勇馬に脅されているように思えるんだ」 「…」 「…」 「…それはまた穏やかじゃない事を考えましたね」 「どう思う?何か聞いてない?」 「…」 「…」 「変だとは聞きましたけどね。まあ、隊長に聞いておきますよ。それで野波ちゃんはどうしたいんですか?」 「そんなの決まってるよ、許せない!」 「OK。隊長に伝えましょ。まぁ野波ちゃんの期待は裏切らないと思いますよ」 「男は掘れた女の望みを、どんと叶えるもんだ!」 「女じゃないですけどね」 「野波さんの願いならなんでも叶えてみせる」 「本当!?嬉しい!隊長さんにもちゃんと伝えておいてね。僕が直接伝えられたらいいんだけど…」 「分かってますよ」 「お願いね。じゃあ、そろそろ僕行くね」 彼氏が田中勇馬に脅されていると言う確証は得られなかったけど、彼らに相談して良かった。 上手くいけば、今度こそ田中勇馬を潰せるかもしれない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |