2 僕の彼氏、日高 昇は、生徒会役員で会長をしている。 他の生徒会役員からも、生徒からも、先生からも、とてもとても信頼の厚い会長だ。 そんな上等な僕の彼氏には、当然親衛隊が存在する。親衛隊とはアイドルのファンみたいな者達だ。 その親衛隊を総括する隊長は野波 海。僕だ。 恋人である僕が隊長を務めるのは当然の義務なのだ。 「会長様…好き。凄く、好きです」 夜、彼氏の寮部屋でうるうるもじもじしながら言った。 好きすぎてこんな態度になってしまうけれど、僕の彼氏はこういった男がタイプなのだから丁度いい。 呼び方も、名前呼びよりも会長と呼ばれる方が喜ぶし、加えて様を付けるとよりいいらしかった。 「さっさとしろ、追い出されたいのか」 横暴な所のある彼氏だけど、それでも好きだから仕方ない。 それにこれは一種のプレイなのだと僕は分かっている。 僕は急いで、ベッドに座っている彼氏にかしずいた。 彼氏の下の世話は恋人である僕の務め。 早々に彼氏の性器を取り出して、まだ兆しの見えないそれを口に含んだ。 とにかく気持ちよくなってほしくて、覚えた手練手管を駆使する。 すると次第に性器が体積を増し硬くなった。 嬉しくなり、思わず彼氏を見上げて「美味しい、好き」と伝えた。 「そんなに美味いなら飲ませてやろうか」 勿論僕は「はい」と答えた。 でも、答えてすぐに僕は訂正をいれた。 「お、お尻にも…ダメですか?」 僕の彼氏はエッチは好きだけど絶倫じゃない。一度イってしまったら、もうその日は絶対にエッチしてもらえない。 「お前に二度立つわけがないだろ。尻に欲しいならくれてやるからさっさと出せ」 この言葉は嘘と分かってても傷付く。 僕は傷付きながらも服を脱いで全裸になった。 尻を出せとしか言われなかったけど、僕はあえて全裸になった。だって、全身で彼氏を感じたかったから。 全裸になったら、今度は彼氏を脱がしていく。 だけど、上半身を脱がそうとした所で手を払われた。 彼氏は肌を晒すのを好かないから仕方ないけど、ちょっと寂しい。 払われた手首を掴まれて、ベッドへ引き上げられる。 膝からベッドへ乗り上げたので、お姉さん座りになってしまった。 全裸で、しかも性器を勃起させた男子高校生がお姉さん座りなんて、なんだか恥ずかしい。 でも、僕の彼氏はこういった男がタイプなのだから丁度いい。 「会長さまぁ…抱いて。…会長様のおちんちん欲しい…」 僕の彼氏はこういった男がタイプなのだ。 「ちゃんと準備してきたんだろうな。汚ねー穴にくれてやる気はないぞ」 僕の彼氏は潔癖症じゃないけど割と綺麗好きなのだ。 「はい。ちゃんと洗ってきました」 僕は片手をベッドへ付いて体を支えると、空いた手で膝裏を持ち、足を左右に開いて見せた。 「へー、どれ」 彼氏はベッド脇のチェストからローションを出すと、僕のお尻の中にそれを流し込んだ。 冷たいそれにびっくりして、体が細かく跳ねる。 それがなんだか不様な気がして、彼氏の体にしがみついて誤魔化した。 「会長さまぁ…会長さまぁ…」 しがみついたのをいい事に、そのまま彼氏の唇に吸い付いた。 すると彼氏の舌が僕の中に入ってきて、縦横無尽に動きまわる。 僕はその甘い舌に酔いしれた。 ローションを入れられた僕のお尻は、次には彼氏の指を入れている。 慣れた手付きの彼氏の指は、けれど僕の一番感じる所を時折掠める程度で、とても意地悪だ。 僕はキスの合間に「ん、ん、」と息を漏らしながら、腰を揺らして催促した。 すると意地悪な指が抜かれてしまう。 (そんなぁー)反射的に思った直後、硬く太く熱いものが下からお尻を突き刺した。 堪らず仰け反って悲鳴を上げる。 激痛ではないけど、少しの痛感と異物感、そして予期せぬ唐突な快感と満足感。 「あ"あ"あああああっ」 彼氏は僕の悲鳴をものともせずに、下からお尻を突き上げ続ける。 そのリズムに合わせて僕の体が跳ね、「あ、あ、あ、」と小間切れに声が漏れた。 僕の彼氏はエッチは好きだけど絶倫じゃない。 絶倫じゃないけどなかなかイかない。遅漏だ。 だから一度のエッチで何度か体位を変える。 暫く対面座位で揺さぶられていたと思えば、そのまま押し倒されて正常位。 僕は正常位が好きだ。 正常位だと彼氏を見つめる事ができるし、なにより、彼氏が僕の性器を擦ってくれるから。だから僕は正常位で大抵イってしまう。 「ぁ…イっちゃったのっ…あっ…あぁん」 何度も言うけど、こういった男が彼氏のタイプなのだ。 「俯せになれ」 「…ぁ、は…い」 俯せになると、腰を持たれて四つん這いの形をとらされた。 それからまた激しい律動が始まる。 暫くして、激しい律動に耐えかねた僕の足が、四つん這いを保てなくなる。 全身をペタリとベッドに付けた状態になると、開いていた足を彼氏に閉じられた。すると彼氏が僕の背中に被さるように重なって、それからまた律動が始まった。 だんだんと律動の速度が上がり、激しいものへと変わっていく。 「ぁぁっ…また…またでちゃう…でちゃうのっ」 しつこいかもしれないけど、こういった男が彼氏のタイプなのだ。 案の定、僕はイってしまった。 そして遅れて彼氏が僕の中でイった。 二人でふー、ふー、と荒い息を吐く。 呼吸が整うと、僕の上に被さっていた彼氏が離れていく。そしてベッドから降りるとバスルームへと歩いていってしまう。 「片付けたらさっさと出ていけ」 いつもこうだ。 彼氏はベタベタとずっとくっついているのを好まない質なのだ。 それは分かってはいるけど、たまにはピロートークだってしたいし、一緒に寝たりもしたい。 でも彼氏は怒ると恐いし、好きだから我が儘を言って負担をかけたくない。 学業に加えて生徒会の仕事もあるから、彼氏は年中大変なんだ。 そんな彼氏の恋人である僕は、彼氏の良き理解者であり癒しであり、支えにならなければいけない。 負担を軽減してあげる存在の僕が、負担を増やすなんて言語道断なのだ。 僕はベッドシーツを新しい物に変えて、汚れたシーツを抱えると、彼氏の寮部屋を後にした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |