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上等な僕の彼氏は、変な奴に付き纏われる事が度々あった。
好きでもない奴に付き纏われる鬱陶しさは僕にもよく分かる。
そういう奴は、僕や親衛隊の皆で、力を合わせて全力で遠ざけてきた。
たまに親衛隊の中にも変な奴がいるから、僕は親衛隊員にも常に目を光らせている。

僕の彼氏に付き纏う変な奴は後を絶たない。

食堂でお昼ご飯を食べていると、入り口から生徒会の皆様が入って来るのが見えた。
生徒会の皆様は、格好いい人ばかりだけど、やっぱり僕の彼氏が一番格好いい。

「会長様ー!好きです!」

僕は彼氏に声が届くように大きな声で言った。
こんなに大好きな事をいつでも伝えたいのだ。

すると一緒にお昼を食べていた親衛隊員の子達も、一斉に同じように叫びだす。
叫び終わると、僕はその子達と顔を見合わせて笑いあった。
皆気持ちは一緒なんだ。違うのは、両想いか片想いかと言う点だけ。

親衛隊の子達と笑いあってから、また彼氏を見ると、変な奴に付き纏われていた。
さっきまで温かい優しい気持ちだったのが、途端に苛立ちに変わる。

彼氏と変な奴は、何か言い争いをしている。
苛々とその様子を見ていると、彼氏が乱暴に変な奴にキスをした。

それを見た瞬間、僕の胸がぎゅうっと絞まった。絞まったそこから飛沫のように一気に何かが噴き出す。
頭が真っ赤に染まって、目もチカチカとしている。充血しているかもしれない。
それでも僕は彼氏と変な奴を見続けた。瞬きすら惜しむ程じっとだ。

変な奴は、真っ赤な顔で何か叫ぶと、僕の彼氏を殴った。
少しよろめいた彼氏は、一瞬の後に笑い始めた。それは食堂中に響き渡る程の大きな笑い声だ。

その後一言二言か交わして、彼氏が踵を返し引き返してくる。
僕は彼氏を食い入るように見つめた。
楽しそうな笑顔を浮かべた彼氏を見て、胸が焼けるように痛んだ。

食堂から出ていく彼氏と生徒会の皆様の背中を見送った後、変な奴へ視線を向ける。
でも、そこにはもう変な奴の姿はなかった。
一帯を見渡してみたけど、変な奴はいない。
食堂にはもういないみたいだった。

「…皆集めて」

僕は隣に座っている親衛隊副隊長へ言った。
すると怒りを押さえた声がすぐに返ってくる。

「今すぐ?」
「放課後」
「了解」

副隊長は、返事と共に携帯電話の操作を始めた。



放課後、とある空き教室に、会長の親衛隊幹部8名が集まった。
乱雑に並んだ机に、各々が好きに座っている。

「笑ってたらしいね、会長様」
「君見てなかったの?」
「まぁね。保健室にいたからね」
「見なくてすんだなら運がいいよ。僕、気絶しそうだったから…」
「あのさぁ、僕が思うにー、あれはさぁ、アレじゃない?あいつ気に食わないからぁ僕らに片付けて欲しい、みたいなぁ?そんなぁ要求なんじゃない?」
「君、良いこと言うじゃん。今の発言でちょっと怒りおさまったわ」
「アハハ、そお?」
「だから会長様あいつにキスしたわけか」
「そおそお。それかぁ、あのキモ男くんにー、無理矢理させられたかぁ。まあ僕はそっち派じゃないけどねー」
「でででで、で、でも、か、か、かい会長様、すご、す、すごく、モテ、モテるから、そ、そっち、の、可能性、も、あああ、あ、あるよっ」
「ちょっと何言ってるか分かんない」
「…ごごごご、ご、ごめ、ごめ…ご、め、ん」

8人の話しの流れを聞いて、僕の中で取り敢えずの結論は出た。
と言うか、食堂にいた時から既に結論は決まっていた。

「どちらにしても、会長様にあんな変な奴を近付ける訳にはいかない。理由は分かるよね?」

僕が問えば、すぐに答えてが返ってきた。

「当然でしょ」
「会長様、あいつに何されるか分かったもんじゃないよ」
「そおそお。それにー、会長様はぁ、どう見てもキモ男くんを拒絶してるしねぇ」
「まあ、万が一にも会長様がその子を気に入ってたとして」
「アハハ。それはぁ、絶対にあり得ないよぉ」
「あー、万が一の話しね」
「万が一とかぁ、いらないよぉ」
「まぁね。僕が言いたいのは、会長様に近付く不審者は、取り敢えず潰せばいいかって事」
「アハハ。納得ぅ」
「じゃあ、通例通り、全力で変な奴を潰す。それでいいね?」

僕は皆が頷くのを確認してから、その旨を各々の下の者に通達するようにお願いした。

「所で、あの変な奴が誰か、知ってる者いる?」
「「「「「「「「………」」」」」」」」





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